「年末で先方が忙しく、アポが取れない」「提案はしたが『年内は難しい』と言われ、来期に持ち越しになった」
12月の営業活動で、このような経験をしたことはないでしょうか。
しかし、12月は動き方を少し工夫するだけで、年内の売上と来期の大型案件を同時に伸ばせる時期でもあります。
実際にGrand Centralでは、12月の動き方を変えたことで年末のアポ数が2倍になった部署や、平均単価の約3倍となる案件を創出した事例があります。
そこでこの記事では、12月のBtoB営業で「来期の仕込み」と「年内の受注」を両立するための3つの打ち手を、
Grand Centralが自社と支援先で実践してきた事例とともに解説します。
結論から言うと、12月は「来期の予算枠に入れるかどうか」が決まる最後のタイミングだからです。
日本企業は3月決算が最も多く、東証プライム市場では約68%を占めるとされています。3月決算の企業では、10月ごろから各部門が次年度の計画と予算を作り、12月の経営会議で大型投資が決まっていきます。
つまり、12月の時点で顧客の頭の中に自社の名前がなければ、来期の予算表に自社の施策が載ることはありません。年明けに提案しても「もう予算が決まっています」と言われてしまいます。
一方、12月は営業担当者にとって今期の数字を積み上げる最後の山場でもあります。年末年始の休みを考えると、実際に動けるのは3週間ほどです。12月の営業は「来期の仕込み」と「年内の受注」という2つの目的を、短い期間で同時に追う必要があります。
12月の動き方は、相手の決算月によって変わります。自社のハウスリストに決算月を登録しておくと、アプローチの優先順位をつけやすくなります。
| 顧客の決算月 | 12月の位置づけ | 12月に優先すべき動き |
| 3月決算 | 翌期予算の骨格が固まる時期 | 来期の予算枠に入るための仕込みと、残り予算での小型受注 |
| 12月決算 | 期末そのもの。翌期予算はほぼ確定済み | 期末の予算消化を狙った提案と、年明けの執行に向けた関係づくり |
| 9月決算 | 新年度の第1四半期 | 上期の施策が動き出す時期。追加施策や新任担当者との関係づくり |
12月にやるべきことは「ハイタッチでの再認知」「一段下のメニューでの年内受注」「聞く項目を決めた来期の仕込み」の3つです。
この3つは個別の施策ではなく、再認知で接点をつくり、その商談で年内受注と来期の仕込みを同時に進める、という一連の流れです。
12月にまず取り組むべきは、来期予算を組んでいる顧客に、自社をもう一度思い出してもらうことです。
ここで重要なのは、メルマガや資料送付のような「ライトタッチ」では足りず、架電やセミナーのような「ハイタッチ」が必要だという点です。
12月は、顧客の受信箱に年末のあいさつや各社のキャンペーン情報があふれる時期です。メールは開封されても、来期の予算を議論する担当者の記憶に残るとは限りません。
さらに、メールでは「来期の予算はいつ決まるのか」「誰が決めるのか」といった、来期の仕込みに必要な情報が取れません。予算を組んでいる最中の担当者に、会話を通じて自社を思い出してもらうことが、検討候補に入る近道です。
| 比較項目 | ライトタッチ(メルマガ・資料送付) | ハイタッチ(架電・セミナー) |
| 相手に残る印象 | 他社の情報に埋もれやすい | 会話や体験として記憶に残る |
| 取れる情報 | 開封・クリックの有無のみ | 予算時期・課題・キーマンなど |
| 12月の役割 | 接点の補助・きっかけづくり | 来期の検討候補に入るための主役 |
ライトタッチが不要なわけではありません。メルマガでセミナーの案内を送り、架電で参加を後押しするなど、ハイタッチにつなげるきっかけとして使うのが効果的です。
架電とセミナーには、それぞれ得意なことと限界があります。片方だけでは届く範囲が限られるため、理想は両方を組み合わせることです。
| 手段 | 得意なこと | 限界 |
| 架電 | 1社ずつ深く会話し、自社の認知度や理解度を高めてもらえる | 1日に接点を持てる数に上限がある |
| セミナー | 一度に多くの企業に自社の考え方や実績を伝えられる | 個社ごとの状況は聞き出しにくい |
セミナーで「この会社は来期の計画づくりに役立つ情報を持っている」と認知してもらい、架電で1社ずつ深く会話し、理解度を高めてもらう。この順番にすると、架電の会話がセミナーの内容から自然に始まり、アポにつながりやすくなります。
〈12月にセミナーと架電を組み合わせるポイント〉
|
CASE Grand Central(自社の取り組み)
■ 課題
架電だけでは接点を持てる企業の数に限りがあり、相手に伝えられる情報の量も限られていた
■ 取り組み
架電フォローに加えて、年度末にかけてセミナー回数を強化。
セミナーで来期の計画づくりに役立つ情報を発信して認知をつくり、参加企業に架電でフォローする流れを構築
■ 成果
該当部署では、年末のアポ数が前月比2倍
Grand Centralが開催しているセミナーは、「イベント・セミナー一覧」からご覧いただけます。
来期の仕込みと同じくらい大切なのが、目の前の数字です。12月は、自社のメイン商材より一段ランクを落としたサービスやトライアルを合わせて用意しておくと、今期の残り予算での受注の可能性が高まります。
12月の商談でよくある失敗が、メイン商材の説明に時間を使いすぎるパターンです。顧客にとって、大きな金額の新規投資は来期の予算で判断したいものです。その結果「年内だと難しいので、来期にあらためて」と言われ、案件が先延ばしになってしまいます。
一方で、顧客側には今期の残り予算や、部門長の決裁で動かせる小さな枠が残っていることも少なくありません。
メイン商材だけを持っていくと、この枠を取りこぼしてしまいます。
この考え方を分かりやすく実践しているのが学習塾です。
多くの塾は「有名校の合格率〇%」といった実績で権威性を示しつつ、「冬期講習が今なら〇円」とスモールスタートできる入口を用意しています。
冬期講習で年内の売上をつくり、授業の質を体験してもらうことで、年明けからの通常入塾や新学年の継続につなげています。目先の売上と将来の仕込みを同時に進めているわけです。BtoB営業でも同じ設計ができますが、意外とできていない営業担当者が多いのが実情です。
一段下のメニューは、メイン商材の価値を小さく体験してもらえる形にするのが基本です。
| メニューの型 | 例 | 向いている商材 |
| トライアル | 1〜2か月の期間限定導入、対象部署を絞った試験運用 | SaaS・ツール |
| 単発・スポット支援 | 単発の研修、1回のワークショップ | 研修・コンサルティング |
| 診断・アセスメント | 現状の課題を整理するレポート作成 | コンサルティング・業務改善 |
| 範囲を絞った導入 | 特定の業務や拠点だけで先に始める | 大型のシステム導入 |
〈設計するときに押さえる3つのポイント〉
|
特に3つ目が重要です。一段下のメニューは値引きではなく、来期の本命につなげるための入口として設計します。
CASE 人材系サービス会社様
■ 課題
決裁者が多忙のため、年末年始にアポ数が落ち込んでしまう
■ 取り組み
年末は来年度の事業計画や人材育成方針を検討する時期であることを踏まえ、
架電トークを「来年度の人材教育や補助金に関するデータが蓄積されたため、ぜひ情報提供の機会をいただきたい」という訴求に変更。
加えて、商談では、事例に触れつつ「来年度の目標」と「今年度やり残したこと」をヒアリング。
そのうえで、メイン商材である長期研修ではなく単発の研修を紹介し、「今年度のうちに一緒にマインドを仕込んで、来年の施策を動かしましょう」と提案。
■ 成果
これまで戦略的には獲得できていなかった当月受注が増加。
単発研修が年内の受注を積み上げつつ、同時に来年度の施策を一緒に進める関係も構築
来期の仕込みで成果を分けるのは、商談で何を聞くかを事前に決めているかどうかです。
聞く項目が決まっていないと、せっかく取れたアポがただの商品説明で終わってしまいます。
12月によく使われるのが「年度末なので、一度情報交換をさせてください」というアポの取り方です。アポ自体は取りやすいものの、商談の場では自社の商品説明に終始し、来期につながる情報が何も残らないケースが少なくありません。
情報交換のアポを取ったなら、商談のゴールは「来期の提案に必要な情報をそろえること」です。商品説明は、そのための材料の一つにすぎません。
| 項目 | 聞く理由 | 質問例 |
| 予算組みの時期 | 提案を出す締め切りがわかる | 「来期のご予算は、いつごろ固まるご予定ですか」 |
| 稟議ルートと期間 | いくらなら誰の決裁で、何週間かかるかで、提案の金額と時期を決められる | 「〇〇万円程度のご予算ですと、どなたのご決裁になりますか。期間はどのくらいかかりますか」 |
| 来年度の注力施策 | 提案を相手の重点テーマに沿わせられる | 「来年度、特に力を入れる取り組みは何になりそうですか」 |
| 決裁者 | 最終的に誰を納得させるべきかがわかる | 「最終的にご判断されるのはどなたですか」 |
| キーマン(運用者) | 導入後に実際に使う人の課題を提案に反映できる | 「導入後、実際に運用されるのはどなたになりそうですか」 |
5つの中でも、特に見落とされやすいのが運用者です。決裁者と運用者の両方がわかると、年末のアプローチの選択肢が広がります。
12月の決裁者は多忙で、「年末年始は忙しいので」とアポを断られることも多いでしょう。そのときに「では、実際に運用をご担当される方とお話しすることはできますか」と続けることで、運用者と先に面談できます。
運用者と先に会っておくと、現場の課題や要件を提案に反映できるうえ、来期に決裁者へ提案するときに社内で後押ししてくれる味方になります。この進め方は、決裁に時間がかかる単価の高い商材を扱う営業担当者に特におすすめです。
Grand Centralが大手総合電機メーカーに提案したときは、事前の準備から5つの項目を意識していました。
CASE 大手総合電機メーカー様
■ アポの取り方
Grand Centralのハウスリストでは、国内550万社以上の企業データが蓄積されている。
そのデータベースから該当企業が3月決算であることは事前にわかっていたため、
下半期の人事異動のニュースをきっかけにアポを打診し、提案の場を設定。
■ 商談で聞き出したこと
■ 提案
これらの情報をもとに、該当企業の来年度の新規事業にマッチした提案を構築
■ 成果
Grand Centralの平均単価の約3倍の案件を創出
3つの打ち手を実行するときに使えるトーク例をまとめました。自社の商材に合わせて言い回しを調整してください。
| 場面 | トーク例 | ポイント |
| アポの打診 | 「来年度の〇〇について、各社の動向や事例のデータがたまってきましたので、計画づくりの参考にご紹介させてください」 | 商品紹介ではなく、来期の計画に役立つ情報提供を入口にする |
| 商談の冒頭 | 「本日は、来年度のご計画に合わせてお役に立てることがあるかを確認したく、いくつかお伺いさせてください」 | ヒアリングが目的だと最初に伝え、商品説明の場にしない |
| 年内受注の打診 | 「来期の本格導入の前に、今年度のうちに小さく試して効果を確かめる方法もございます」 | メイン商材を否定せず、来期の判断材料として一段下のメニューを出す |
| 決裁者に断られたとき | 「承知しました。では、実際に運用をご担当される方に、先に現場のお話を伺うことはできますか」 | 断られた流れのまま、運用者との面談につなげる |
年末年始の休みを考えると、12月に動ける期間は実質3週間ほどです。週ごとにやることを決めておくと、来期の仕込みと年内受注の両方を取りこぼしにくくなります。
A. 商品紹介のアポは取りにくくなりますが、来期の計画づくりに役立つ情報提供のアポは受け入れられやすい時期です。実際に、人材系サービスの支援先では「来年度の人材教育や補助金のデータを紹介させてください」という打診でアポ数が増えました。
Q. 12月決算の企業には、どう動けばよいですか?A. 12月決算の企業にとって12月は期末そのもので、翌期の予算はほぼ固まっています。期末の予算消化を狙った一段下のメニューの提案と、年明けからの施策に向けた関係づくりを優先しましょう。
Q. 一段下のメニューを出すと、メイン商材が売れにくくなりませんか?A. 値引きとして出すと、メイン商材の価値を下げてしまうおそれがあります。トライアルや単発支援の結果が、来期の本契約の判断材料になるように設計すれば、むしろメイン商材への入口になります。
Q. 運用者と先に会うと、決裁者に失礼になりませんか?A. 決裁者に「年末は忙しい」と言われた流れで、運用予定の方との面談をお願いする形であれば、自然な提案として受け止められます。運用者から現場の課題を聞いておくと、決裁者に提案するときの内容も具体的になります。
12月の打ち手は、どれも短い期間に一気に実行する必要があります。一方で、既存顧客の対応や年内案件のクロージングと重なり、架電やセミナーのフォローまで手が回らない企業も少なくありません。
Grand Centralは、貴社の「営業戦略室」として、ターゲット選定から架電・セミナーのフォロー、商談で聞くべき項目の設計までを一気通貫で支援します。12月のように、仕込みと受注を同時に進めたい時期にこそ、外部のプロの力を活用するのも有効な選択肢です。
12月は、多くの企業で来期予算の骨格が固まる時期であり、
BtoB営業にとっては来期の案件と年内の数字の両方を取りにいく分岐点です。
12月をどう過ごすかで、来期の営業の立ち上がりは大きく変わります。来期の仕込みと年内受注の両立に向けて、
営業活動の見直しを検討している方は、Grand Centralへぜひ一度ご相談ください。