「SFAを導入したいがコスト削減につながるのかわからない」「経営層に費用対効果を説明できず、導入判断が進まない……」SFAの費用対効果が測れず、お悩みではないでしょうか。
SFAは営業活動の可視化や業務効率化に有効なツールである一方、導入コストや運用負荷も大きく、導入する価値があるのか判断しにくい場合があります。
本記事では、SFAを導入する際の総費用や計算例、費用対効果を最大化するコツ、導入しても成果が出ないパターンをまとめています。
これらを参考にSFAの費用対効果を明確にすれば、自社にSFAを導入するべきかどうか判断できるでしょう。
SFAの費用対効果を判断するためには、SFAの総費用を正確に把握しておく必要があります。SFA導入にかかる主なコストは、次の4つです。
初期費用は、SFAを自社の運用状況に合わせて設定し、現場へ導入する際にかかる費用です。
費用はまちまちで、初期費用無料のサービスもあれば数十万に達する場合もあり、内訳は下記のようになります。
既存データの整備が複雑であったり、手厚い導入支援を受けたりするほど、金額が大きくなります。
既存データの整備を事前に済ませておいたり、導入支援を最小限に抑えたりすれば、初期費用の負担を軽くできます。
月額費用はユーザー数やプランによって変動し、1ユーザーあたり3,000円〜2万円ほどが相場です。
費用の内訳は、下記の通りです。
月額費用を抑えるには、マネージャーのみ上位プランにして他メンバーは標準プランに設定するなど、必要に応じてライセンスを使い分けましょう。
カスタマイズ費用は、自社の業務に合わせてSFAを最適化するための費用です。
軽微な調整なら数万円ほどで済みますが、システムを根幹から変更する本格的なカスタマイズでは、開発工数がかさむため100万円以上になる場合もあります。
主なカスタムとしては、下記のようなものが挙げられます。
標準機能で業務の8割以上をカバーし、残りを必要最小限のカスタマイズで補うような運用が費用対効果を最大化するポイントです。
運用工数にかかる費用は、SFAの運用に際して発生する社内の人件費です。
SFA運用にかかる新たな工数が発生する一方で、日報作成やデータ集計といった事務工数全体を削減できるため、トータルでは導入以前より人件費は抑制できる可能性があります。
運用工数の最適化には、入力項目を絞る・連携機能で入力を自動化する・管理者の負担を分散するなどの工夫が大切です。
SFAの費用対効果を算出するには、導入前の営業実績や工数を記録し、改善効果を客観的に測れるようにしておきましょう。
売上アップや効率化といったSFAの導入効果を、どのように数値化するのか具体的な方法を解説します。
SFAの導入効果を測るには、営業プロセスごとの数値目標(KPI)を導入前後で比較する必要があります。
SFAの導入前に、あらかじめ下記のようなKPIを測定しておきましょう。
現状のKPIを把握しておけば、SFAの導入効果を正確に測れます。
SFAは、営業や管理部門の作業工数の削減にもつながるため、下記のように金額換算で削減効果を算出します。
「削減時間 × 営業社員の人件費(時給) × 人数 = 削減効果(金額)」
削減時間は、実際の入力・集計に使っている時間を各社員にヒアリングして求めましょう。
また、時給は社員ごとに異なるため、平均値や中央値を用いたり、社員ごとに個別に計算を行ったりして、より正確に求めることが大切です。
実際の数値を当てはめ、SFA導入の費用対効果を具体的に計算していきます。数字の置き換え方がわかれば、そのまま自社の稟議資料にも活用できます。
最終的な費用対効果(ROI)を算出するため、まずはSFA導入後に商談数が増えたケースを例に売上増加額を計算します。
計算式は、「年間の商談増加数 × 受注率 × 平均契約単価 = 年間の売上増加額」を用います。
▼仮定条件
▼計算式
→ 年間480万円の売上増加
商談の増加数や受注率を正確に計算し、SFA導入による売上効果を具体的に示しましょう。
次に、SFAを1年間運用した際に、どのくらい工数削減できたのか、導入による効果を計算します。
計算式は、前述した「削減時間 × 営業社員の人件費(時給) × 人数 = 削減効果(金額)」を用います。
▼工数削減の前提
▼計算式
→ 工数削減効果 =約167万円
集計の自動化やレポート作成の効率化といった工数削減を積み上げれば、年間100〜300万円ほどの削減効果を生むケースも珍しくありません。
売上増加額と工数削減額が揃ったら、SFAの総費用を基に、最終的な費用対効果(ROI)を計算します。
ROIの計算は「(売上増加額 + 削減額 − 総費用) ÷ 総費用 × 100%」で求められます。
▼SFAの総費用
→ 1年間の総費用 = 150万円
▼これまでの数値のまとめ
これらを先ほどのROIの計算式に当てはめると、以下のようになります。
→ (480万円 + 167.5万円 − 150万円) = 497.5万円
→ 497.5万円 ÷ 150万円 = 3.32
→ ROI = 332%
つまり、投資した150万円に対して年間で3倍以上のリターンが見込める計算です。
社内にSFAの導入を検討している場合、このように費用対効果(ROI)を算出すれば、経営層の理解が一気に進み稟議も通りやすくなります。
SFAの費用対効果を評価する際、売上増加や工数削減といった定量的な数値だけではなく、数字で測れない定性的な効果にも目を向けましょう。
定性的な効果は即座に数値化できないものの、下記のような効果が、長期的には受注率の向上や営業生産性の底上げにつながり組織の基盤を確実に強化します。
SFAの費用対効果を最大化するためには、導入前の準備と運用開始後の定着支援を計画的に進めることが不可欠です。
「費用対効果の試算では高い効果が見込めたのに、実際には半分も効果が出なかった……」こうした事態を避けるため、最大化のコツを確認していきましょう。
SFAを導入する際「何を解決したいのか」「どの指標を改善したいのか」、目標を明確に設定しましょう。
「営業活動を可視化する」といった曖昧な目的では、現場は何をどこまで入力すべきか判断できず、運用に支障をきたしてしまいます。
「商談化率を現状15%から20%に改善する」「案件の進捗遅れを週次で把握し、受注サイクルを2週間短縮する」など数値目標を明確にすれば、必要な機能や入力項目が自然と絞り込めます。
目的が明確な組織ほど現場も迷わず運用でき、短期間でSFAを定着させられるでしょう。
SFAの効果を引き出すには、操作マニュアルや運用ルールを導入前に整備しておくことが大切です。
入力基準が人によって違ったり、操作ミスによる誤入力が発生していたりする状態では、データの信頼性が低下し、分析や意思決定に活用できません。
現場の混乱を防ぎスムーズな運用を開始するためにも、SFAの導入前に入力項目の定義や承認フローなどを明文化したマニュアルを用意しましょう。
また、導入後の定着を促進するために、社員からの質問対応窓口を設けて、現場の疑問を素早く解消できる環境を用意しておくとスムーズに業務を進めやすくなります。
SFAを選ぶ際は、自社の組織規模や解決したい課題に合ったツールを複数比較しましょう。
「多機能だから」「有名だから」という理由だけでSFAを選ぶと、必要な機能が不足していたり現場が使いこなせなかったりして、導入費用が無駄になってしまう場合もあります。
逆に「商談管理に特化したい」「入力項目を最小限に抑えたい」など明確な希望を持ったうえでSFAを選べば、導入後のミスマッチを防ぎやすいでしょう。
また、SFAのデモやトライアルを実際に試し、現場目線で使いやすいか、下記のようなポイントを確認することも重要です。
トライアルの際は実際に使う営業担当者にも参加してもらい、率直な意見を聞いておきましょう。
SFAを導入しても、期待通りの成果が出ないと投資が無駄になってしまいます。
とくに次の3つは、失敗につながりやすいケースです。
営業組織の規模が小さい場合、SFAを導入しても費用対効果が見合わないケースがあります。
たとえば少人数の組織では、1人当たりの工数削減効果が限定的になるため、相対的に導入コストが膨らみます。
また、営業担当者が数名しかいない場合は、Excelや口頭で十分に情報共有できてしまうため、SFAを導入しても案件の可視化や進捗管理といったメリットを感じにくくなるでしょう。
小さな営業組織の場合、まずはExcelやスプレッドシートでの運用を試し、組織が拡大してから本格的なSFA導入を検討するのもひとつの選択肢です。
上司からのフィードバックがない状態だと、営業担当者が「SFAを入力しても意味がない」と感じ、入力する内容が雑になってしまいます。
このような状態では現場のモチベーションが下がるだけではなく、データが不足したり信頼できるデータを得られなかったりしやすいため、SFAを活用した分析が行えなくなります。
最終的にSFAはただのデータ置き場になり、不毛な入力作業が、組織全体の生産性を下げる要因にさえなりかねません。
SFAを導入する際はツールの導入準備だけでなく、上司と部下のコミュニケーション設計も同時に整えましょう。
データを改善につなげる仕組みがないと、いくらSFAに情報が蓄積されても具体的な成果には結びつきません。
SFAのデータを分析し、営業戦略や個別の商談アプローチに反映させる仕組みがなければ、SFAは単なる記録ツールになってしまいます。
たとえば商談化率の低下に気づいても改善アクションを分析できない、失注理由を分析しても次の提案に活かさないといった状態では、SFAの効果は得られません。
SFAを活かすためには、十分なデータ分析を行える人材の確保と、データを起点としたPDCAサイクルを回す仕組みを準備しておく必要があります。
SFAの費用対効果を上げるには、目的の明確化・データ設計・入力ルールの整備・改善PDCAといった一連の仕組みを作る必要があり、決して簡単な作業ではありません。
「導入を進めなきゃいけないのに何から着手すべきかわからない」「人員や知見が不足して仕組みの設計ができない」といった課題を抱える企業も多いでしょう。
Grand Centralでは、営業のプロフェッショナルがSFA活用に必要な運用基盤づくりを企業様と一緒に進め、営業組織全体の仕組みとして定着化する支援を行っています。
SFAの費用対効果を最大化する方法や、導入に関するお困りごとがあれば、ぜひご相談ください。
(株)MICさまでは、Excelやスプレッドシートによる運用からSalesforceの本格導入へ移行し、情報の一元管理と可視化を実現しました。
同社は、顧客情報が複数のシートに分散し、重複入力や更新漏れが頻発する状態に課題を抱えていたため、Grand Centralの「セールスDX」をご依頼いただきました。
ご支援では、フェーズ更新・承認フロー・必須チェックなどの基本オペレーションを整備し、入力品質と可視化を同時に向上。とくにオフィスの大型モニターにダッシュボードを常時表示する取り組みにより、「今やるべきこと」「案件の詰まり」をチーム全体で共有できる環境を構築しています。
こうした取り組みの結果、Salesforceへの入力が自然と促され、社内でもデータドリブンな会話が増加したとご報告いただいています。
Grand Centralのサービスについて、「現場の声を大切にしながら本気で変革したい企業におすすめです」とうれしいお声をいただきました。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
SFAの費用対効果を正確に算出するには、総費用を洗い出したうえで、売上増加や工数削減などの効果を数値化して計算する必要があります。
また、SFAを目的なしに導入するだけでは成果は出ず、マニュアルの整備やデータを改善につなげる仕組みづくりが不可欠です。
本記事の内容を参考に、自社に合ったSFAを選定し、営業組織全体の生産性向上と持続的な成果創出を実現しましょう。
Grand Centralでは、 SFAの導入支援やデータ分析はもちろん、戦略設計や営業代行といった幅広い営業活動をサポートしています。
SFAの導入判断や定着化に課題を抱えている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。