インサイドセールスでは、架電数や商談数を追っていても、成果につながらないことがあります。KPIの数字は見ているものの、部門ごとに目的が揃っておらず、結果として指標が形骸化してしまうケースも少なくありません。
本記事では、KGI(重要目標達成指標)から逆算しながら、SDR・BDRそれぞれが担う業務内容と、KPIの設定・見直しのポイントについて具体的に解説します。
インサイドセールスでは、架電数や商談数を追っていても、商談化や受注につながらないケースがあります。活動量は確保できているにもかかわらず、その後の工程に引き継がれなければ、営業全体として成果が伸びません。
さらに、インサイドセールス・マーケティング・フィールドセールスで追っている数値が揃っていない場合、どこで数字が落ちているのかを把握しづらくなります。KPI(重要業績評価指標)を設定すれば、各工程が担う範囲と、次の工程へ渡すために求められる成果を明確にできます。
インサイドセールスでKPIを設計する際、最初に決めておくべきなのが、どの状態をゴールとして置くのかという点です。受注をゴールとするのか、有効商談の創出をゴールとするのかによって、インサイドセールスが追うKPIは変わります。
ここでは、成果地点(ゴール)をどこに置くのかを決める際に、押さえておきたいポイントについて解説します。
成果地点を設定する際は、架電数などの行動量から順に置くのではなく、まず一定期間で何件の受注を目指すのかをKGI(重要目標達成指標)として決めましょう。次に、その受注を実現するために、商談が何件必要かを逆算します。
たとえば、月5件の受注を目指し、受注率が20%であれば、有効商談は25件が目安になります。ここで使う受注率は、直近の実績をもとに、商材やターゲットごとに分けて算出します。
そのうえで、インサイドセールスとしてどの状態を成果地点とするのかを決めます。商談の日程が決まった時点を成果とするのか、受注につながる見込みが立った商談までを成果とするのかは、次に解説するインサイドセールスの役割によって分かれます。
インサイドセールスでは、SDR(Sales Development Representative)とBDR(Business Development Representative)で担当する業務が異なります。
こうした違いがあるため、追うべきKPIも共通化せず、それぞれの業務内容に合わせて設計します。
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SDR |
BDR |
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主な役割 |
既存リード対応を商談化 |
新規ターゲットへの接触と機会創出 |
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営業対象 |
問い合わせ・資料請求のあった企業・担当者 |
ターゲットリスト上の企業・担当者 |
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KPIの例 |
・フォローアップ数 ・コネクト(着電)数/コネクト率 ・有効会話数 ・商談化数/商談化率 ・有効商談数/有効商談率 |
・ターゲットのリストアップ ・フォローアップ数 ・ターゲット接続数/接続率 ・パーミッション(有効リード)獲得率 ・商談化数/商談化率 |
インサイドセールスのKPI(重要業績評価指標)は、活動量・接続や反応といったプロセス、商談成果、そして事業貢献の4つの数字に分けて追う必要があります。成果数値だけを見ていると、「どこで数字が崩れているのか」「何を改善すべきか」が分からなくなりがちです。
ここでは、課題の発生箇所を特定しやすくするために、インサイドセールスで押さえるべき4つのKPI指標について解説します。
活動量は、商談を生み出すための入口となる数字です。立ち上げ期や、現在の人員・稼働で十分なアプローチができているかを把握するうえで欠かせません。ただし、活動量は「多ければ多いほど良い」指標ではありません。理由のない件数目標を置くと、対応が作業化し、次の工程につながらなくなる可能性があります。
活動量で押さえるべきなのは、「どれだけ動いたか」ではなく、「商談につながる母数を安定して作れているか」です。そのため、売上目標から落としたKPI設計の中で、必要な活動量だけを設定することが重要になります。
具体的には、SDRではインバウンドリードへの対応件数、BDRではターゲット企業への架電数や手紙の送付数などが該当します。重要なのは、これらの数値を単独で評価せず、次の工程につながっているかを確認することです。
接続・反応は、アプローチが実際に顧客に届いているかを確認するための指標です。活動量が十分でも、相手と会話できていなければ商談は生まれません。ここでは「動いたか」ではなく、「当たっているか」を見ることが重要になります。
この指標では、「接続」と「反応」を分けて捉えることがポイントです。電話の接続率が低い場合、トーク以前にリストの精度や架電時間帯などが影響している可能性があります。一方で、接続できているにもかかわらず反応が得られない場合は、訴求内容や課題の切り取り方、会話の入り方に改善余地があると考えられます。
具体的な指標としては、SDRでは通電率や初動対応の速さ、返信率、有効会話数などを確認します。BDRでは受付突破率や決裁者との接続数を追うことで、アプローチの質を判断しやすくなります。
商談は、インサイドセールスの成果を示す重要な指標です。ただし、単に商談数やSQL(営業が対応すべきと判断されたリード)だけを追っていると、フィールドセールスが実際には動けない商談が増えてしまうケースも少なくありません。
そこで重要になるのが、フィールドセールスが内容を確認したうえで受け入れた商談、いわゆるSAL(受領商談)です。SQLとSALの差分を見ることで、「商談としては成立しているが、現場で戦える状態ではない案件」がどの程度含まれているかを把握できます。
具体的な指標としては、商談数や商談化率に加えて、SQL数とSAL数の推移を併せて確認します。特に商談化率は、接続数を分母にするのか、アプローチ数を分母にするのかで意味が変わるため、定義を揃えたうえで運用することが欠かせません。商談数の増減だけを見るのではなく、「次の部門につながっているか」をこの段階で判断することが重要です。
インサイドセールスの価値を示すには、売上やパイプライン(営業担当者が見込み客を顧客へ転換する中で辿る段階的なプロセス)への貢献を数字で示せる状態を作ることが欠かせません。商談数やSQLだけでは、事業にどの程度影響しているのかを説明しづらいためです。
この段階では、インサイドセールス起点で積み上がっているパイプライン金額や、実際に受注につながった金額、受注率などを確認します。これらの数字を見ていくことで、「インサイドセールスが売上創出のどの部分を担っているのか」を明確にできます。
パイプラインについても、一般的な目安にそのまま当てはめるのではなく、自社の勝率や商談期間に即した水準で確認する必要があります。
あわせて、SFA(営業支援システム)上で商談の発生源を正しく管理し、インサイドセールス経由の案件が分かる状態を整えておくことが重要です。そうすることで、現場の活動が事業にどう返ってきているのかを、数字で説明できるようになります。
KPIは、項目や数値を揃えただけでは現場で機能しません。実際の運用では、同じ数字を見ていても部門や立場によって判断が分かれ、意思決定が遅れることがあります。
ここでは、こうしたズレを防ぎ、KPIを現場で使える状態にするために、事前に決めておくべき運用ルールについて解説します。
商談と有効商談の線が部門でズレていると、同じ数字を見ても会話が噛み合わず、改善の手が止まります。たとえば「日程が入っただけ」の商談まで成果に含めると、商談数は増えているのに受注が伸びない状態が続きやすくなります。
そこで必要になるのが、「有効商談として数えるのはどこからか」を先に揃えることです。集計の線が揃っていれば、商談数の増減が良い増え方かどうかまで追えるようになり、どこで薄くなっているかも見えやすくなります。
インサイドセールスからフィールドセールスへ商談を回すときは、「この状態になったら回す」という運用ルールを先に揃えておく必要があります。ここが曖昧だと、フィールドセールス側は対応の優先度を付けられず後回しになりやすく、インサイドセールス側は「回したのに動いてくれない」と感じて、部門間のやり取りが噛み合わなくなります。
引き渡しで大事なのは、商談の内容を完璧にそろえることではなく、フィールドセールスが初動を切れるだけの材料が揃っていることです。たとえば、誰と話したのか(関与者)、何が論点なのか(課題の要点)、次回の予定はいつか(面談日時)といった情報が明確になっていれば、フィールドセールスは確認に時間を取られず、次のアクションをすぐに組み立てられます。
あわせて、「誰が・いつまでに・どこまでの情報を入力するのか」も決めておきます。SFAやCRMで記録する項目と期限を統一しておけば、フィールドセールスは受け取った時点で状況を把握でき、そのまま次の対応にスムーズにつなげられます。こうした約束ごとを部門間で合意し、SLAとして文章に残し、月次などの周期で見直す運用にしておくと、引き渡しの混乱を防げます。
ここまで、インサイドセールスで追う指標と運用上の留意点について確認してきましたが、次はこれらの指標が受注目標(KGI)にどう結びつくのかを明確にし、チームの動きを一つのゴールにそろえることが重要です。
ここでは、KGIから逆算してKPIを設計する際の具体的な流れを解説します。
KPIの計算に入る前に、インサイドセールス・マーケティング・フィールドセールスの間で「どこからを成果として数えるか」と「いつまでを対象に見るか」を先に揃えておきます。ここが揃っていないと、同じ目標を追っているつもりでも、部門ごとに見ている数字が変わり、必要なKPIもズレていきます。
この段階で揃えておきたい主な項目は、次のとおりです。
有効商談の条件は、たとえばBANT(予算・決裁権・課題・導入時期)のうち、どこまで情報が揃っていれば「有効」とみなすのかを部門間で明確にします。完璧を求めるよりも、「ここまで揃えば前に進める」という線を揃えることが大事です。
あわせて、ゴールと期間も決めます。四半期で追うのか、月で追うのかで、見るべき指標や動き方が変わるためです。週次や月次など確認の周期も決めておけば、ズレが出たときに早めに調整しやすくなります。
活動目標を決めるときは、先に「必要な商談数」を置き、そこから逆算して必要なアプローチ量を出します。根拠のない件数目標を先に置くと、数字は動いても成果に結びつきにくくなるためです。
商談数から活動量を落とす際は、次の順で逆算していきます。
たとえば、必要なアプローチ数は「目標商談数 ÷ 商談化率 ÷ 接続率」で出せます。さらに、1人あたりの稼働日数で割れば、1日あたりの必要アプローチ数まで落とし込めます。
この計算過程をチームで共有し、必要な活動量を担当者ごとの稼働状況に合わせて目標として置いていけば、「今日は何をどれだけ進めるか」が明確になります。商談化率や接続率が変わった場合は、必要な活動量も変わるため、数字の推移に応じて調整できる形にしておくことがポイントです。
KPIはすべてを同時に追うものではなく、インサイドセールスのフェーズに応じて重視する指標を切り替えていくのが現実的です。見る指標を限定しないと、管理が複雑になり、改善の打ち手が定まらなくなります。
立ち上げ期は、活動量や接続率を中心に据え、安定して接点を作れる状態を整えます。動きが固まってきた改善期では、反応率や商談化率を見ながら、成果につながるパターンを増やしていきます。成熟期では、有効商談数や受注貢献額を軸に、事業への影響を確認します。
このようにフェーズごとに見る指標を切り替え、月次などの周期で見直していくことで、KPIを実務に活かしやすくなります。
なお、指標を切り替えても改善が進まない場合は、KPI以前の設計や役割分担も見直す必要があります。インサイドセールスの立ち上げや再設計の際に見落とされやすいポイントについては、以下の記事より詳しく解説しています。
KPIの数字が想定どおりに動かなくなったときは、個々の動きではなく、どの工程で数値が変わっているかを順に確認する必要があります。ここでは、KPIが崩れたときに押さえておきたい確認ポイントを解説します。
接続率が落ちたときは、いきなりトークを疑う前に、まず「誰に・いつ・どう当てているか」を分けて確認します。接続はトーク以前の要素で変わることが多く、原因の切り分けを間違えると対策が空振りします。
原因を特定する際の観点と項目については、以下を参考にしてください。
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観点 |
項目 |
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1)ターゲット(リスト側) |
・部署・役職が狙いとズレていないか ・名寄せ不足で、過去接触済みの番号や担当に当たっていないか ・直通が少なく、代表番号中心のリストになっていないか |
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2)タイミング(当て方) |
・架電が会議が入りやすい時間帯に偏っていないか ・曜日や時間帯の固定化で、接続しにくい枠だけ回っていないか ・直通と代表で、接続の傾向が分かれていないか |
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3)手段(チャネル) |
・電話だけに寄っていないか(メール・フォーム・SNSの併用余地) ・メール併用の場合、件名や導入文が開封・返信につながる形になっているか |
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4)オペレーション(回し方) |
・追いかけ回数が少なすぎないか/逆に短期間に詰めすぎていないか ・追客の間隔が一定で、相手の稼働に合わせた波を作れていないか |
対策は「接続率を上げる」ではなく、上のどこに原因があるかに合わせて打ちます。たとえば、直通の比率を増やす、時間帯を分散する、電話に寄せすぎない導線を足す、追客回数と間隔を見直す、といった形です。
接続数は確保できているにもかかわらず商談につながらない場合は、トーク以前に「何を目的に会話しているか」が相手に伝わっていない可能性が考えられます。
まず確認したいのは、「課題仮説 → 質問 → 合意」という会話の流れが崩れていないかです。業界や職種で起きやすい課題から入って相手の状況を聞き、合いそうであれば「このテーマで一度状況をすり合わせませんか」と次の場へ自然につなげられているかを見直します。
次に、商談につなぐためのオファーが弱くなっていないかも確認します。サービス紹介そのものではなく、デモ、簡易診断、事例共有など、「次回は何をする時間なのか」「何が持ち帰れるのか」が明確な提案になっているかが重要です。
それでも商談化率が伸びない場合は、ターゲットと商談のカウント基準も確認します。そもそも課題が顕在化していない層に当たっていないか、また「商談として数える条件」が厳しすぎたり緩すぎたりしていないかを、前段で部門間で揃えた基準に沿って確認します。
商談数は確保できているのに有効商談が減っている場合は、「次の工程に進める条件」が運用の中で崩れているケースが考えられます。検討時期が合わない案件や、まだ情報収集段階の相手を商談として数えていないかを、まず確認します。
最初に見たいのは、ISとFSの間で合意している引き渡し条件が、実際の運用でも守られているかです。BANT(予算・決裁権・課題・時期)のうち、どこまで情報が揃っていれば次に回すのかが曖昧になると、有効商談の基準が形だけになりやすくなります。
次に、フィールドセールス側の状況の変化も確認します。競合環境や単価帯、提案範囲が変わっている場合、これまで有効とされていた商談が通りにくくなることがあります。勝ち筋が変わっていないかを共有し直すことも欠かせません。
あわせて、インサイドセールス側の仮説やトークが更新されているかも見直します。過去に刺さっていた切り口がそのまま使われ続けていないか、失注や無効になった案件の共通点を拾えているかを確認します。
商談実施率や引き継ぎメモを振り返り、どの条件でズレが生じているのかを把握できれば、有効商談の水準を再び安定させやすくなります。
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