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営業組織の作り方とは?再現性を生む7つのステップで脱・属人化

「チームの成績にばらつきがあり売上予測が立てられない」
「新人や中堅が育たず、トップ人材が辞めたら事業が傾いてしまう」
などの課題に頭を悩ませていませんか。

この記事では、特定の個人の能力に依存する営業から脱却し、組織の力で安定的に成果を出し続ける仕組みの作り方をステップで解説します。強い営業組織の共通点から、実際に組織改革を成功させた企業の事例まで解説しているため、ぜひ貴社の組織作りにお役立てください。

強い営業組織に共通する特徴

ここでは、成果を出し続ける強い営業組織に共通する、3つの特徴を解説します。

  • 成果を再現できる仕組みを持っている
  • 営業プロセスが標準化されている
  • 人が育つ仕組みが根づいている

成果を再現できる仕組みを持っている

強い営業組織は、特定のトップセールスの個人的な能力に頼らず、「組織全体で安定的に成果を生み出す仕組み」で動くのが特徴です。

エース担当者が売上の大半を稼ぐ組織では、その人が退職すると業績が一気に傾くことがリスクです。強い組織は、トップセールスのセンスや勘といったノウハウを徹底的に分析し、誰もが実行できる具体的な手順に落とし込みます。

たとえば、「セールスプレイブック」と呼ぶ行動指針を用意し、マニュアル通りの会話ではなく、「なぜこのタイミングでお客様にこの質問をするのか」といった意図まで明記します。こうした工夫により、経験の浅いメンバーでも、トップセールスに近い思考の流れをたどりながら、質の高い営業活動を進めることが可能です。

営業プロセスが標準化されている

次に、営業プロセスが標準化されている点も、強い組織の共通点です。お客様が商品を知ってから購入に至るまでの一連の流れに合わせて、営業活動の手順が明確に決まっています。

プロセスを標準化する目的は、成果につながる進め方を明確にし、どの工程に改善余地があるのかを事実で判断できるようにすることです。そのためには、各ステップでどれだけ次の段階へ進めているか(移行率)を数値で確認します。

  • 見込み客の獲得からアポイントへの移行率
  • アポイントから商談への移行率
  • 商談から受注への移行率

これらの移行率を計測すると、「アポイントは取れるのに、提案まで進む確率が低い」といった組織のボトルネックが数字で明確になります。これにより、感覚的な改善ではなく、データに基づいた合理的な組織運営ができます。

人が育つ仕組みが根づいている

最後に、人が育つ仕組みが根づいている点も挙げられます。「先輩の背中を見て仕事を盗もう」といった現場任せの指導から脱却し、ITツールなどを活用した客観的な育成の仕組みが定着しているのが特徴です。

育成の中心に置くべきは、SFA(営業支援システム)などに残された活動データを基にしたコーチングです。上司の経験則に頼るのではなく、実際の動きを数字で確認しながら、「クロージングは強いが、ヒアリングの段階で離脱が多い。提案前の課題設定を整えよう」といった、根拠のある助言につなげます。

あわせて、この仕組みが機能するには、失敗を個人の責任として扱わないことも重要です。商談の結果を共有しやすい空気があると、取り組みの振り返りが前向きに行われ、次の改善につながります。こうした環境が揃ってはじめて、継続的な成長を支える育成の仕組みとして機能します。

強い営業組織を作る上で直面しがちな課題とは

ここでは、強い営業組織を作ろうとする際に直面しがちな、代表的な2つの課題について解説します。

  • 属人化が進み仕組みを整える余地がない
  • 人手が足りず改善に時間を割けない

属人化が進み仕組みを整える余地がない

属人化が進むと、仕組みそのものが成立しません。これが強い営業組織づくりで最初にぶつかる壁です。

トップセールスへの依存は、短期的には成果が見えるため放置されがちですが、組織の成長を止めてしまいます。こうした背景には、トップセールスが「自分にしかできない仕事」を持つことが社内での存在価値になると考え、ノウハウを共有しづらくなるという問題が関係しています。

ノウハウが個人に閉じたままではスキルの底上げが進まず、組織全体が個人頼みの営業から抜け出せません。さらに、その個人が離れた瞬間に顧客関係まで途切れる恐れがあり、リスクは常に内包されたままとなってしまいます。

人手が足りず改善に時間を割けない

人手が足りないまま日々の対応に追われると、改善に充てる時間を確保できず、仕組みづくりに着手できない状況が続きます。こうした状況が続くと、以下の負のループに陥ります。

  • 仕組みがないから効率が悪い
  • 効率が悪いから長時間労働になる
  • 長時間労働で疲弊した人が辞めていく
  • さらに人手が足りなくなる

特に、組織改革を率先して進めるべき優秀なエース人材ほど、目の前の売上目標を達成するためにもっとも忙しく働いている状態に陥ります。この悪循環を自社の力だけで断ち切るのは難しいでしょう。

強い営業組織の作り方7ステップ

ここでは、強い営業組織を作るための具体的な7つのステップを解説します。

  1. 現状の課題を洗い出す
  2. 戦略とKPIを明確にする
  3. 営業プロセスを標準化する
  4. 組織構造と役割を整理する
  5. 採用・育成・評価制度を整える
  6. SFA/CRMを活用し、データで判断する
  7. 改善を仕組み化し文化として定着させる

1. 現状の課題を洗い出す

最初のステップは、どこで成果が止まっているのかを事実で特定することです。感覚ではなく、定量と定性の両面で原因を突き止めます。

観点

何を見るか

何がわかるか

次の打ち手につながるポイント

定量(SFA)

・移行率(リード→商談→提案→受注)

・担当者ごとの工程別の停滞

・どの工程で止まっているか

・誰がどこで苦戦しているか

数字を眺めるのではなく、改善すべき工程(ボトルネック)を特定できる

定性(ヒアリング)

・成果の出ている担当者の進め方

・伸び悩む担当者の行動

・「何が成果を分けているのか」という行動差

(例:課題の深掘りの有無、提案前の情報量の差)

属人化していた成功の型が具体化し、標準化すべき行動が見える

定量と定性の両側面から全体像がつかめると、次に着手すべき改善ポイントが一つに絞り込めます。

2. 戦略とKPIを明確にする

次は会社の事業戦略から逆算し、営業組織が達成すべき目標(KGI)と、それを達成するための中間指標(KPI)を明確に定めます。

指標

具体例

KGI

年間売上〇〇円

KPI

・有効商談数

・キーパーソンとの接触率

・次のアクション設定率

KGIだけを追っても、現場は何を変えればいいのか判断できません。営業活動を受注まで分解し、どの行動が結果に寄与しているのかをKPIに落とし込みます。そのうえで、指標の背景や狙いを説明すると、メンバーが「なぜこの行動が必要なのか」を理解したうえで動けるようになります。

KPIのより具体的な設定方法や、目標達成につながる運用ポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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3. 営業プロセスを標準化する

次は、現状分析で見つけ出したトップセールスの優れた行動を、組織全体の勝ちパターンとして共有します。

プレイブック(手順書)は、お客様の購買プロセスに合わせて作ります。お客様がまだ情報収集の段階なのに、強引に契約を迫るような行動は、信頼を失いかねません。各段階でのお客様の状態を定義し、それに合わせた最適なアクションを決めましょう。

たとえば、以下のような項目を具体的に定めます。

  • 初回訪問で必ず確認するべきヒアリング項目
  • 決裁者情報をどの段階で、どのように取得するか
  • 各フェーズを完了したと判断する基準(例:「課題と予算感が握れている」など)

これらを定め、誰が担当しても一定の品質を保った営業活動ができる状態を目指します。

4. 組織構造と役割を整理する

次は、標準化された営業プロセスを誰がどのように実行するのかを定めます。以下のように、プロセスに合わせて各メンバーの役割と責任を明確に分担します。

役割

担当範囲

インサイドセールス

初期接点で確認すべき条件(課題の方向性・導入時期・意思決定の流れなど)をそろえ、引き継ぎ基準を満たすところまでを担当

フィールドセールス

引き継ぎ基準を基に商談設計をおこない、提案・合意形成・受注までを一貫して担当

上記のように「どのような状態になったら、インサイドセールスからフィールドセールスへ引き継ぐのか」という共通の定義を決めます。共通の定義がないと、部門間の不要な対立を生む原因になります。

5. 採用・育成・評価制度を整える

仕組みを機能させるには、新しいやり方に合わせた人材の採用、育成、評価の仕組みを一貫性を持って整えます。採用では、「営業経験〇年」といった表面的な経歴だけでなく、以下の行動特性を重視する視点が求められます。

  • 新しいやり方を素直に学ぶ意欲
  • 変化に対応できる柔軟性

評価制度も同様です。最終的な売上目標の達成度といった結果だけでなく、標準化されたプロセスを守っているか、チームにノウハウを共有しているかといった行動も評価の対象に加えます。

6. SFA/CRMを活用し、データで判断する

次は、商談記録の基準をそろえ、SFA/CRMのデータをそのまま判断に使える状態にします。まず、入力項目・記載ルールを統一し、案件の状況を全員が同じ基準で読み取れるようにします。

記録がそろうと、「どの工程で停滞が発生しているか」「どの業界なら進みやすいか」といった傾向が明確になり、担当者本人も次の打ち手を決めやすくなります。

SFA/CRMは管理用ではなく、商談の進め方を判断しやすくするための情報源として扱うことが重要です。ルール化と負担軽減が整ったとき、はじめてデータを根拠とした営業運営が機能します。

7. 改善を仕組み化し文化として定着させる

強い営業組織であり続けるためには、改善し続けるサイクルそのものを組織の文化として定着させることが重要です。変化に対応する力を組織に根づかせるには、具体的な場と機会を設ける必要があります。

たとえば、週に一度の営業会議で、KPIの進捗を確認します。過去の結果を細かく確認するのではなく、「どうすれば次はうまくいくか」という未来に向けた議論を徹底しましょう。

また、組織内に専任の「セールスイネーブルメント担当者」を置くのもひとつの方法です。担当者が中心となり、新しいツールの使い方を教えたり、現場の成功事例を集めて共有したりすると、改善の動きが止まらず、組織が継続的に成長していきます。

営業組織を成長させる「仕組み化」のポイント

ここでは、作り上げた仕組みをさらに成長させるための3つのポイントを解説します。

  • ナレッジを自然に共有できる環境を作る
  • データに基づいたマネジメントをおこなう
  • 1on1やコーチングで個々の成長を支える

ナレッジを自然に共有できる環境を作る

営業組織を成長させるには、まずナレッジを自然に共有できる環境を作ります。

そのためには、見込み客を集めるマーケティング部門との壁をなくし、組織全体で顧客情報やノウハウを共有する「Smarketing(セールス+マーケティング)」の発想が求められます。多くの会社では、営業とマーケティングの間で以下のような対立が起こりがちです。

  • 営業:「マーケティングから来る見込み客は質が悪い」
  • マーケティング:「あれだけ見込み客を送ったのに、営業が決められない」

このような対立は、両者が売上を共通の目標ではなく、別々の目標を追いかけているために発生します。

こうした断絶をなくすにはまず、営業現場で得られた「顧客の反応」「失注理由」「実際に響いた価値」をマーケティングへ継続的に共有する仕組みを整えます。これにより、両部門が同じ情報から判断できるようになります。こうした往復が整うと、見込み客の定義や評価基準が揃い、自然とナレッジの共有が進む組織に変わっていきます。

データに基づいたマネジメントをおこなう

データに基づいてマネジメントする仕組みを整えることも重要です。営業プロセスを標準化すると、マネージャーが見るべき情報が明確になり、役割も「管理」から「改善点を特定し、行動に落とす支援」へ変わります。

上司の経験や感覚ではなく、SFAに記録された事実をもとに状況を判断することで、助言が具体的になり、メンバーも納得して改善に取り組めます。

たとえば、「初回訪問から具体提案への移行率が低い」というデータが出ていれば、原因を“提案の質”と捉えるのではなく、提案に至る前のヒアリングの質や情報量を一緒に確認し、どこを修正すべきかを明確にできます。

このように、事実を根拠にした対話ができるようになると、マネージャーとメンバーの間で「どこを改善するか」が揃い、改善のサイクルが途切れなく回るようになります。

1on1やコーチングで個々の成長を支える

1on1やコーチングは、組織の仕組みだけでは拾いきれない個々のつまずきを見える化し、成長を後押しするための手段です。仕組みを整えるだけでは、メンバーごとの悩みや働き方の違いに対応しきれないため、定期的な対話の場を設けて状況を把握します。

1on1は、上司が進捗を確認するための場ではなく、メンバーが営業活動で感じている迷い、判断に困った場面、働き方の不安などを率直に話せる時間として扱います。こうした対話があると、現場で起きている細かな課題に早い段階で気づけます。

そのうえで、1on1で把握した課題をもとに、次の一手を一緒に整理するのがコーチングです。具体的な行動に落とし込むことで、メンバーの営業活動が前に進みやすくなります。

仕組みと個別支援の両方がそろうことで、メンバーが安心して実行に集中できる環境が整い、組織としての成長スピードも安定します。

営業組織改革の事例

ここでは、営業組織の改革に成功した2社の事例を紹介します。

  • 事例1|株式会社イビコン様
  • 事例2|株式会社ドコモgacco様

なお、他のご支援実績については、こちらからご覧ください。

事例1|株式会社イビコン様

側溝などのコンクリート製品を製造・販売する株式会社イビコン様は、長年、営業活動が属人的で、再現性を高められないという課題を持っていました。

そこで、Grand Centralの支援の基、従来の営業体制を再編成しました。引き合いから受注までを一貫して担当する体制から、インサイドセールスとフィールドセールスの分業型へと転換しました。

特に効果的だったのは、コンサルタントが実際の商談に「同行営業」した点です。ツールの使い方といった話だけでなく、現場でお客様とどう向き合い、どう話すかという実践的な指導をしました。

結果として、これまで形式化していたSFAへのデータ入力も定着し、営業活動の効率化とデータ蓄積のルーティン化を実現しています。

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事例2|株式会社ドコモgacco様

eラーニングなどの教育研修サービスを提供する株式会社ドコモgacco様は、事業の主軸がBtoCからBtoBへと移行する中で営業組織体制に課題を抱えていました。

過去に単発のテレアポサービスを利用した経験があり、アポイントの件数自体は増加。しかし、その多くはお客様の課題に合致しない質の低い商談であり、満足のいく結果にはつながっていませんでした。

そこでGrand Centralは、初回商談プロセスの再設計と実践的な提案を通じて、二次提案・受注につながる高品質な商談の創出を支援しました。具体的には、事前に顧客の課題を深くヒアリングした上で初回提案に臨むため、その後の受注までスムーズに見通せるようになります。

結果として、商談の質が過去の依頼先よりも圧倒的に良くなり、「商談の進め方は弊社の他メンバーからもレベルが高く参考になる」という声が上がるほど、高い評価をいただいています。

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二次提案・受注へと繋げる「質の高い商談」— 社内外が認める営業プロセスとは

Grand Centralができること

成果につなげるには、戦略と実行力を兼ね備えた支援が必要です。ここでは、私たちGrand Centralが提供するサービスを紹介します。

Grand Centralが提供するセールスイネーブルメントとは

私たちが提供するセールスイネーブルメントは、単発の研修や営業代行ではありません。営業組織に所属する「全員」が継続的に成果を出し続けるための「仕組み」を組織に実装する総合的なコンサルティングです。

具体的には、綿密なヒアリングによる課題分析から戦略立案、トップセールスによる研修、SFA/CRMの定着支援までを一貫して実行します。最終的には、構築した仕組みやノウハウがお客様の資産となる「内製化」までを伴走支援します。

Grand Centralならではの3つの特徴

Grand Centralは「成果を出し続ける」ことに強くこだわっています。その根拠となるのが、次の3つの特徴です。

1. キーエンス出身をはじめとした営業プロフェッショナルが支援

キーエンス、リクルート、Salesforceなどでトップレベルの営業を経験してきたコンサルタントが、営業戦略立案・仮説検証・マネジメントをおこないます。実働を担当するのも弊社のノウハウが身に付いたメンバーです。弊社独自の制度で選定された実力のある人材や、100%子会社の社員が担当します。

2.ワンストップで幅広いソリューション

戦略立案からインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスまでワンストップで支援します。オーダーメイドでのプランでは、ターゲットやサービス特性に個別に対応可能です。また、SFA構築・運用や営業研修、組織構築など、クライアント企業が自走できる支援メニューを幅広く提供しています。

3.クオリティの高い成果物

私たちは、Grand Central独自の営業ノウハウを、お客様のサービスや組織に合わせた具体的な成果物として提供します。たとえば、以下のようなものが含まれます。

  • 営業結果を多角的に分析した営業データ
  • 勝ちパターンが構築されたスクリプト
  • 実践的な応酬トーク集

報告資料も詳細に記載し、成果や進捗状況をいつでも確認できる体制を整えています。

まとめ

強い営業組織を作るには、個人の才能に頼るのではなく、再現性のある「仕組み」を構築することが不可欠です。

以下の資料では、この記事で解説した「セールスイネブルメント」を含め、Grand Centralが貴社の営業組織の課題をどのように解決できるのかを具体的にまとめています。パートナー選定の際に、比較検討の材料としてご活用ください。