展示会への出展を進める際、「投資に見合う成果が本当に出ているのか」「集めた名刺が売上につながらない」といった悩みはつきものです。
特に、展示会の出展には多額のコストがかかる一方で、リソース不足から出展後のフォローまで十分に手が回らないケースが少なくありません。結果として、展示会に出展しても、投資に見合う成果が得られていないのが実情です。
この記事では、展示会の費用対効果を測る正しい指標や、成果を高めるための8つのステップを詳しく解説します。併せて、外部リソースを活用しながら、商談につなげていく方法も紹介しますので、展示会を売上に直結させるためのノウハウとしてお役立てください。
展示会への出展は、多くの企業にとって大きな投資です。その成果を正しく評価し、次回の戦略に反映させるためには、「良さそうだった」「反応は悪くなかった」といった感覚的な判断だけでなく、商談化数や受注につながった件数など、意思決定に使える数値指標をもつことが欠かせません。
ここでは、展示会の費用対効果を測るための基本的な指標と、その計算方法について解説します。
ROI(Return On Investment:投資利益率)とは、投資した費用に対してどれだけの利益が得られたかのパーセンテージを表します。ROIの計算式は、以下のとおりです。
ROI(%)=(展示会経由で得られた利益 ÷ 出展総費用)×100
たとえば、出展費用が300万円、生まれた利益が600万円だった場合、ROIは200%となります。
BtoB商材では、展示会をきっかけに商談が進み、一定期間を経て受注や継続につながるケースが一般的です。そのため、半年から1年スパンでのLTV(顧客生涯価値)や商談創出額を含め、中長期的に評価することが重要です。
ROIと併せて重要なのが、CPA(Cost Per Action:顧客獲得単価)です。CPAは、名刺1枚(リード1件)を獲得するためにかかった費用のことで、以下のように算出できます。
CPA(円)= 出展総費用 ÷ 獲得リード数
CPAを算出することで、Web広告やテレアポなど、他のマーケティング施策と比べて展示会のコストパフォーマンスが良いのかどうかを客観的に比較できます。
ただし、展示会では来場者との接点数が増えるほど、数字上のCPAは低く見えやすくなります。そのため、Web広告と同じ感覚で顧客獲得単価だけを見ると、商談につながらない接点まで含めて評価してしまいかねません。展示会の成果を正確に確認するためには、単純な顧客獲得単価ではなく、実際に商談へ進んだリードを基準に単価を見ることが重要です。
シミュレーション上の目安は、ROIが200〜300%(投資額の2〜3倍)、CPAが1〜3万円程度となります。
目安の根拠と算出モデルは、以下のとおりです。
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項目 |
目標・適正ライン |
算出モデル・根拠 |
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ROI (費用対効果) |
200〜300% ※粗利ベースで算出 |
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CPA (獲得単価) |
1〜3万円 ※確度の高いリードに限定 |
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ここで言うCPAは、単なる名刺獲得ではなく、具体的な案件化が見込める「有効リード(または商談)」を成果地点として設定します。
テレアポ代行の相場(1.5〜2.5万円)と比較しても、対面で信頼関係を構築できる展示会リードを同水準で獲得できるなら、十分な成果と言えるでしょう。
なお、認知拡大が主目的の場合は、直接的な利益(ROI)での判断が難しく、Webサイトへのアクセス数やSNSフォロワー数などが指標となります。自社の出展目的や商材の粗利率、過去の実績データから逆算して、適正な目標ラインを設定することをおすすめします。
展示会出展にかかる費用は、大きく「必須費用」と「運営費用」に分けられます。ここでは、出展予算を検討する際に押さえておきたい費用項目について解説します。
出展にかかる費用の大部分を占めるのが、場所代としての「出展料」と、ブースを作るための「施工・装飾費」です。出展料は、一般的に1小間(3m×3m)あたり30〜50万円が相場で、出展に際して必ず発生する固定費です。
施工・装飾費(30〜100万円程度)やデザイン費(20〜100万円程度)は、依頼先によって金額に幅が出やすい項目となります。また、装飾の作り込み方によっても費用差が出るため、他の出展費用とのバランスを踏まえて検討することが必要です。
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費用内訳 |
詳細 |
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壁面・正面の掲示物 |
壁面や正面に設置するパネル、グラフィック、出力物にかかる費用。サイズや点数、出力方法によって金額に幅が出る。 |
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展示物 |
デモ機、実物展示、映像機器など、ブース内に設置する展示物にかかる費用。機材の種類や台数によって変動する。 |
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装飾・備品 |
造作装飾、什器、レンタル備品、自社制作物などにかかる費用。使用点数や制作方法によって金額差が出やすい。 |
当日の活動を支える運営費用には、スタッフの人件費や交通費・宿泊費のほか、集客のためのノベルティやチラシ制作費が含まれます。費用の目安として、以下のとおりです。
人員に関わる費用は、展示会全体の予算の中でも割合が大きくなりやすい項目です。以下では、運営に関わる主な費用項目をまとめます。
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費用内訳 |
詳細 |
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人員(当日対応) |
展示会当日にブース対応をおこなう人員にかかる費用。集客対応と接客対応を分ける場合は、その人数分を含める。 |
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人員(事前対応) |
当日に備えて対応内容を共有するために必要な人員分の費用。事前説明や役割確認に要する時間を含める。 |
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配布物・ノベルティ |
ボールペンや飲食物など、ブース前で配布する物品にかかる費用。数量や内容によって金額に幅が出る。 |
展示会にかかった費用は、一般的に「広告宣伝費」として計上されるケースが一般的です。ただし、内容によっては異なる勘定科目になる場合があるため注意が必要です。
10万円以上で長期的に使用(使い回し)する大型モニターや特注什器などは、「消耗品費」ではなく「工具器具備品」として資産計上し、減価償却が必要になる場合があります。
展示会のROIを高めるためには、当日の頑張りだけでなく、事前準備から事後フォローまでの一貫した設計が不可欠です。ここでは、実践すべき8つのポイントを解説します。
展示会を成功させるには、「名刺を〇〇枚集める」という行動目標だけでなく、最終ゴール(利益・受注)から逆算したKPIツリーの設計が不可欠です。
BtoB展示会における目標設定は、以下のステップで逆算して設定します。
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ステップ |
ポイント |
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1.目標受注数(利益)の決定 |
まず、「今回の出展でいくらの利益(または売上)が必要か」を決め、それを平均顧客単価で割って「必要な受注数」を算出する。 |
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2.必要な商談数の算出 |
過去の商談受注率(成約率)を基に、「その受注数を得るために何件の商談が必要か」を計算する。 【具体例】 受注目標10件 ÷ 受注率20% = 必要商談数50件 |
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3.必要なリード獲得数の算出 |
名刺交換から商談につながる確率(案件化率)を基に、「必要なリード数(名刺数)」を導き出す。 【具体例】 必要商談数50件 ÷ 案件化率10% = 必要名刺数500枚 |
このようにロジックを組むと、「500枚の名刺」という数値を当日の行動量に落とし込めます。
また、数だけでなく質を確保するためには、ターゲット層を明確にすることも必要です。ターゲットがあいまいなままだと、自社の顧客になり得ない層を集客してしまうおそれがあります。
展示会で成果につなげるためには、以下のようにターゲットと有効リードとみなす定義を明確にすることが重要です。
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TO DO |
具体例 |
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ターゲットを明確にする |
自社の課題解決策が刺さる企業規模、業種、役職などを具体的に設定する。 |
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有効リードを定義する |
獲得した名刺すべてを成果とするのではなく、「競合他社」「パートナー企業」「セールス目的」などは除外するルールを設ける。 その上で、ターゲット条件を満たすものを「有効リード」としてKPIに設定する。 |
KPIとして定めた目標リード数を確実に達成するためには、当日の集客戦略が欠かせません。ブースのレイアウトやノベルティを工夫し、質の高いリード獲得を高めるための具体的な手法については、以下の記事で解説していますので、併せてご参考ください。
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「展示会に出展すれば自然と人が集まる」という受動的な姿勢では、費用対効果を高めることは困難です。会期前からターゲットの関心を惹きつけ、当日の商談成功率を高める「プレマーケティング」が不可欠です。
具体的には、以下の複数チャネルを組み合わせて接触の頻度を高めます。
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チャネルの種類 |
内容 |
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ダイレクトメール(DM)・招待状 |
有望なターゲット企業へ物理的な招待状を送付する。 |
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Web・SNS活用 |
自社サイトでの告知に加え、SNSやプレスリリース配信をおこない、広く認知を広げる。 |
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主催者ツールの活用 |
展示会主催者が提供する告知ツールやシステムも積極的に利用する。 |
事前に商談アポイントを確定させておくことで、当日の来場者数に左右されず、安定した成果が見込めます。また、来場者の期待値を事前に高めておくと、当日は説明の時間を省き、具体的な商談からスタートできるため、成約率の向上にもつながります。
このように、展示会を単なるイベントではなく営業の場として活用するには、事前のアポ取りから当日のクロージングまで、一貫した戦略が必要です。展示会営業で成果を出すための基本原則や、アプローチのコツについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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ブース内でスタッフが待ち構えていると、来場者は入りづらさを感じます。スタッフは通路側に立ち、能動的に声をかけて資料を手渡し、興味をもった人をブース内の商談席へ誘導する流れを作りましょう。
実際、Grand Centralのコンサルタントが「クライアントの一員のようにブースに立ち、積極的に来場者に声をかけた」ことで、展示会リードから多くの商談を創出した実績があります。待ちの姿勢ではなく、能動的に呼び込む運営が成功には必要不可欠です。
さらに、自社ブースで待つだけでなく、ターゲット企業の出展ブースへこちらから出向き、課題ヒアリングする「逆営業」という手法も有効です。株式会社オプテージ様の事例では、この攻めのアプローチによって接点を大きく拡大することに成功しました。
獲得した名刺は、その場で「Hot」「Warm」「Cold」のように顧客ステータスを分け、ヒアリング内容と共に記録します。これにより、展示会後のフォロー時に、対応の順番で迷わずに済みます。
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顧客ステータス |
定義・判断基準例 |
翌日のアクション |
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Hot(今すぐ客) |
導入時期や予算が具体的。 |
優先的に架電 |
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課題が明確で解決策を求めている。 |
個別メールで商談打診 |
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Warm(検討客) |
興味はあるが時期・予算が未定。 |
MA等で一斉配信 |
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情報収集段階だが課題感はある。 |
お礼メール(サンクスメール) |
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Cold(情報収集) |
名刺交換のみ、挨拶のみ。 |
MA等で一斉配信 |
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直近のニーズが見当たらない。 |
お礼メール(サンクスメール) |
その場での管理が重要な理由は、スピードが成果に直結するためです。実際、名刺交換の翌日に架電した場合、商談獲得率が4倍になるというデータがあります。記憶が鮮明なうちに準備を整え、翌営業日の即フォローを心がけましょう。
展示会のお礼メールはスピードが求められます。会期中または終了翌日には、全リードへ一斉配信しましょう。
また、一律の対応ではなく、会期中に設定した確度に応じて戦略的に配信します。
Warm・Cold層へのメールには、挨拶だけでなく「詳細資料のDL」や「製品ウェビナー」へのリンクを配置します。リンクに反応(クリック・DL)した顧客は、「隠れHot(ニーズ顕在層)」としてHotへ引き上げ、営業担当者が即時に個別フォローすることで取りこぼしを防ぎます。
Hot層のリードには、メールの開封を待たずに即座に電話(インサイドセールス)をおこない、商談日程を確定させることが鉄則です。展示会直後は複数社から連絡が入るため、先に日程が決まるかどうかで、その後の商談機会に差が出ます。
弊社では、展示会後のフォローにおいて以下の体制を構築し、確度の高い商談創出に成功しています。
事後フォロー:検討層への継続的なナーチャリング
サンクスメールで反応がなかったWarm・Cold層に対しては、中長期的な育成(ナーチャリング)へ移行します。漫然と情報を送るのではなく、顧客の温度感に合わせて、情報の目的を使い分けることが重要です。
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顧客の状態 |
主な内容 |
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関心ウェビナー (集客重視) |
業界トレンドやノウハウを提供し、関係を維持する。 |
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製品ウェビナー (アポ重視) |
具体的な機能や導入事例を紹介し、商談へ誘導する。 |
その後の育成は、ウェビナーの使い分けや、カタログ郵送(アナログ)の併用が有効です。最終的にMAツールで行動をスコアリングし、関心が高まった瞬間にアラートを出す仕組みを構築することで、タイミングを逃さないアプローチが実現します。
展示会後のやりっぱなしを防ぐため、SFA/CRMを活用してデータを営業資産として管理しましょう。スプレッドシート等の単なるリスト管理ではなく、プロセスを可視化し、確実な成果検証を実施します。
弊社ではSalesforceを導入し、以下の施策によってデータドリブンな改善サイクルを実現しています。
ダッシュボード活用による具体的な改善プロセスの詳細については、以下の記事をご覧ください。
展示会では、出展そのものよりも「どの数字を追うか」「誰がその後を担うか」といった設計と運用のズレによって、費用対効果が落ちてしまうケースが少なくありません。ここでは、費用対効果を下げてしまう主な要因と注意点を解説します。
名刺の枚数だけを目標に置くと、競合他社や学生、ノベルティ目的などのターゲット外まで集客してしまうおそれがあります。獲得単価(CPA)は下がりますが、質の低いリストへの対応は営業リソースを圧迫します。結果として、本来フォローすべき有望顧客への対応が遅れ、商談化率の低下を招きかねません。
展示会後のフォロー対象を揃えるためには、まず「何を有効な接点として数えるか」を決めます。以下では、有効リードとして集計に含める条件と、除外する条件の一例です。
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定義項目 |
内容 |
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対象外リード |
競合、パートナー、学生など、商談対象とならない接点は集計から外す。 |
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判定条件 |
役職や企業規模に応じて点数を設定し、一定の点数を満たしたもののみを集計対象とする。 |
上記の条件に基づいて集計した有効リード数を、展示会後のKPIとして管理します。
展示会のROIを悪化させる大きな要因は、コストをかけて獲得したリードを放置することです。フォローのスピードは商談化率に直結しており、名刺交換の翌日に架電した場合、商談獲得率は4倍になるというデータがあります。
展示会後は、出展各社が短期間にフォローを進めるため、連絡までに時間が空くほど、他社との商談が先に進む可能性が高まるでしょう。名刺情報の入力待ちで対応が止まらないよう、会場での即時デジタル化などを活用し、翌営業日にはフォローを開始できる運用を整えておくことが、ROIに影響します。
営業担当者が通常業務と兼務すると、どうしても既存顧客への対応が優先され、重要度が高いはずのフォローが後回しになりがちです。
展示会後は短期間で数千件のリストにアプローチする必要があるため、対応量とスピードの両立が重要です。社内リソースに限界がある場合は、外部リソースを活用し、営業組織を垂直立ち上げし、機会損失をゼロにする体制を整えることも検討しましょう。
戦略があっても、それを実行するリソースやノウハウが社内にない場合、外部のプロフェッショナルを活用するのも有効な選択肢です。Grand Centralは、貴社の「営業戦略室」として機能します。
具体的な解決策や手法については、下記資料で詳しく解説しています。
私たちが提供するのは、単なるテレアポ代行ではありません。展示会戦略の立案から、当日のブース運営と事後フォロー(インサイドセールス)をまとめて一気通貫で支援する「セールスデベロップメント(営業開発)」サービスです。
「リソース不足で名刺を放置してしまう」という最悪の事態を防ぎます。獲得したリードを確実に商談・受注へとつなげ、展示会の費用対効果を高めます。
Grand Centralの提供するサービスの特徴を紹介します。
厳しい選考を突破した営業のプロが、貴社の一員としてブースに立ち、能動的な呼び込みをおこないます。また、自社ブースで待つだけでなく、ターゲット企業のブースへ攻め込む「逆営業(リバースセールス)」も実施可能です。
獲得リードの質やフォロー結果を数値化し、感覚ではない科学的なPDCAを高速で回します。SFA/CRMを活用して「どの層に・どのアプローチが響いたか」を分析し、展示会の費用対効果を可視化・改善します。
依頼から最短でチームを組成し、初月からトップスピードで稼働します。展示会直前のご依頼でも、このスピード感で機会損失を防ぎます。
代表的なご支援実績を紹介します。ほかのご支援実績については、こちらからご覧ください。
IoT/FA領域の新規事業立ち上げにおいて、展示会出展と連動した営業支援を実施しました。 コンサルタントが展示会ブースに立って名刺を獲得し、その直後からインサイドセールスによる迅速なフォロー架電を実行します。
その結果、短期間で多くのアポイントと商談を創出しました。クライアントからは、単に代行するだけでなく、社内に成果物(スクリプトやノウハウ)が残るため、長期的な費用対効果(ROI)が高いと評価いただいています。
クラウド・データセンター事業の新規開拓にあたり、事前にターゲット企業を具体化した上で、展示会会場でこちらから声をかける「逆営業」を実施しました。
展示会では来場者を待つ形になりがちですが、対象企業を絞り込んでいたため、会場内で直接アプローチする判断が可能でした。その結果、単なる名刺交換に留まらず、導入検討の背景や課題感といった具体的なニーズをその場で確認でき、接点の質を高めることにつながりました。
まとめ
展示会の費用対効果を高めるには、数値に基づいた緻密なプロセス設計が重要です。ROIやCPAといった指標を正しく理解し、事前準備から当日の運営、そして事後フォローまでを一貫した戦略でつなぐことが欠かせません。
展示会を名刺集めで終わらせないためには、獲得したリードに対して即座にアプローチできる実行体制を整えることが重要です。特に翌日フォローのスピード感が成果を左右するため、社内リソースだけで手が回らない場合は、外部リソースを活用して機会損失を防ぐことも有効な選択です。
Grand Centralでは、展示会戦略の立案から当日のブース運営、事後のインサイドセールスまでを一貫して代行するセールスデベロップメントサービスを提供しています。「戦略はあるが実行リソースが足りない」「フォロー体制が構築できない」とお悩みの方は、ぜひ以下の資料をご覧ください。