展示会出展を進める際、「名刺は集まったが商談につながらない」「フォローしたいが時間がない」といった悩みはつきものです。特に近年は、人手不足や通常業務の多忙さが原因で展示会後の対応が後回しになり、結果として獲得した名刺が活用されずに終わってしまうケースが増えています。
展示会で成果を出すためには、名刺の枚数ではなく商談をゴールに据えて、データと論理に基づいた再現性のある仕組みを準備段階から構築することが重要です。
この記事では、商談を生み出すためのKPI設計や、リードの質を高める事前準備、当日のオペレーションから事後フォローの鉄則までを詳しく解説します。あわせて、外部リソースを活用してリソース不足を解消する現実的なアプローチも紹介しますので、展示会の費用対効果を高める施策としてご参考ください。
展示会に出展する際、多くの企業が「名刺獲得数」を目標に掲げますが、それだけでは費用対効果を高めるのは困難です。展示会を成功させるには、最終的なゴールを見据えた設計が必須です。
ここでは、展示会で商談を生み出すために押さえておくべきKPI設計と、目標設定のポイントを解説します。
展示会のゴールは、会場で集めた「名刺の枚数」ではなく、その後の営業活動を通じて得られる「最終的な売上(受注)」に設定することが重要です。なぜなら、どれだけ多くの名刺を集めても、その後の商談や受注につながらなければ、出展コストを回収できないからです。
目標を立てる際は、「何枚集めるか」ではなく、「いくらの受注が必要か」から逆算します。そこから必要な商談数、リード数を割り出しましょう。
さらに、その目標数が「1時間あたり何枚か」まで因数分解し、物理的に可能か検証することも重要です。無理な集客はフォロー漏れを招き、見込み客を競合へ流出するリスクを高めてしまいます。
名刺の獲得数だけをKPIにしてしまうと、運営スタッフは「とにかく枚数を稼ごう」という意識になりがちです。その結果、ターゲット外の来場者まで集めてしまい、後工程の商談化率が下がるだけでなく、フォローしきれないリードが放置される原因にもなります。
米国のアドバイザリー会社であるシリウスディシジョンの調査では、営業担当が放置した見込み顧客のうち、約8割が2年以内に競合他社に流れていることがわかっています。
そのため、むやみに枚数を追うのではなく、ターゲット企業の決裁者など、自社にとって価値のある有効リードがどれだけ含まれているかを重視する姿勢が大切です。どのような状態の見込み客なら商談化しやすいか、まずは営業部門とマーケティング部門で「有効リード」の定義をすり合わせ、共通認識を持ちましょう。
獲得目標数を決める際は、「会期後に誰が、いつまでにフォローしきれるか」自社のリソースを考慮に入れる必要があります。
漠然と「3,000枚」などの目標を立てるのではなく、以下のように1分単位まで因数分解して検証することをおすすめします。
【目標獲得数の分解シミュレーション例】
※展示会では時間帯による来場者数の偏りや説明対応が発生するため、実質稼働時間を6時間前後として算出しています。
上記例では、「約22秒に1枚」のペースで名刺交換し続ける計算になります。これを実現するには例えば、同時に3〜4名が接触対応できる状態を作り、休憩交代を回す場合を想定して運営スタッフは延べ7〜8名規模になるケースが一般的です。
このように数値で分解し、自社のリソースで対応可能な現実的なラインを見極めましょう。
展示会の成果は、当日の動きだけでなく、事前の準備段階で大部分が決まると言っても過言ではありません。質の高いリードを獲得するためには、ターゲットにあわせた戦略的な準備が必要です。
ここでは、リードの質を高めるための事前戦略として、以下の3つのポイントを紹介します。
多くの企業は社名や製品名を前面に出しがちですが、来場者が見ているのは「自分の課題に関係があるかどうか」です。そのため「勤怠管理システム」ではなく、「物流業の2024年問題に対応した勤怠管理」のように、誰の・どんな悩みに応える展示なのかが一目で伝わるテーマ設定が重要です。
併せて、展示会の成果は当日の頑張り以上に、「どこに出るか(媒体選定)」と「どこに構えるか(場所選定)」で決まります。主催者に過去の来場者の職種・役職比率を確認し、自社のターゲットになる決裁者層がどれだけ含まれているかを試算して選定しましょう。
また、ブースの位置も人気のある場所は早く埋まってしまうため、開催の1年前や募集開始直後に申し込み、早めに確保しておくことが重要です。
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ブース位置 |
メリット |
適している戦略 |
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入口・メイン通り沿い |
交通量があり、ブース前を通る母数が大きくなる。 |
【認知・大量獲得】 広く浅くリードを集めたい場合。 MCやコンパニオンを活用した集客に最適。 |
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セミナー会場周辺 |
特定の課題解決を求める意識の高い層が集まりやすい。 |
【質の確保】 課題が顕在化している層へのアプローチ。 特定のソリューション提案に強みがある場合。 |
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角コマ(2・3面開放) |
通路に面している箇所が多く、視認性が高く入りやすい。 |
【バランス型】 死角を減らして集客効率を高めたい場合。 (※片面しか面していない中コマよりも有利) |
たとえば、人事労務システムを扱う企業が出展する場合で考えてみましょう。単に「来場者数」の多さだけで判断すると、成果を見誤る可能性があるため、「ターゲット含有率(その会場に決裁者が何人いるか)」で比較することが重要です。
以下の2つの展示会を比べてみます。
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展示会(例) |
ポイント |
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展示会A(総合IT展) |
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展示会B(バックオフィス特化展) |
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このケースでは、総来場者数は少なくても、自社のターゲットである人事担当者がより多く来場する「展示会B」の方が出展価値が高いと判断できます。
ブースやノベルティは、単に人を「集める」ためだけでなく、ターゲットを選別するために活用するという視点が必要です。例えば、誰にでも渡せる汎用的な配布物を用意すると、想定していない層まで集まり、結果として商談効率が下がることがあります。
そこで、ターゲット企業の課題に刺さるキャッチコピーや、業務に役立つ資料を特典として用意しましょう。
そうすることで、本当に興味のある質の高いリードだけを足止めできます。このようにターゲットを絞り込み、無駄なリソース消費を防ぐことは、展示会の投資対効果を高めるために有効です。
正しく費用対効果を測定する方法や、さらに数字を改善するためのポイントについては、以下の記事を参考にしてください。
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関連記事 内部リンク:展示会 費用対効果 |
展示会の成果を「当日の運任せ」にしないためには、会期中の偶発的な出会いだけでなく、既存リストへの能動的な働きかけが欠かせません。ただし、リスト全員に一律の案内を送るのではなく、ターゲットの解像度を上げて「誰に会いたいか」を明確にしておくことが重要です。
そして、そのターゲット層が抱える課題に刺さる「展示会限定デモ」や「特別相談会」をフックに、メールや電話で個別にアプローチを実施します。これにより、確度の高い商談時間をあらかじめ確保でき、会期中のスケジュールを有効活用できます。
また、案内を送ること自体が、ブースへの立ち寄り率を高めることにもつながります。具体的なアクションとして、案内メールには以下のような要素を盛り込むと効果的です。
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件名 【展示会限定デモのご案内】〇〇展にて新製品「△△」を体験いただけます |
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本文に入れるべき4要素
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いよいよ展示会当日です。限られた時間の中で成果を上げるためには、スタッフ全員が役割を理解し、効率的に動くことが求められます。リードの質と量を高めるための当日のオペレーションについて、以下の3点を解説します。
ブース運営においては、通路で声をかけて足を止める役割(集客担当)とブース内で深く商談する役割(商談担当)を明確に分ける「完全分業体制」が重要です。
役割があいまいだと、商談担当が呼び込みに時間を取られて熱いリードを逃したり、逆に呼び込み担当が長く話し込んでしまい、通路を通る新たな見込み客を取りこぼしたりする機会損失が生まれます。実際、この役割を明確に分業化したことで、リード獲得数が約1.8倍にアップしたという実例もあります。
特に「呼び込み」は、来場者の足を止めるための熱量が必要です。そのため、パフォーマンスを維持するには、「45分稼働・15分休憩」といった細かいローテーションを組み、常に集中力と熱量を保った状態で通路に立てる人員配置が重要です。
当日現場で迷いが生じないよう、事前に役割分担表を作成し、スタッフ全員に「なぜ分業するのか」という意図とともに共有し、チームの意思統一を図りましょう。
また、当日の呼び込みから案件化につなげるためのトークスクリプトや、立ち振る舞いの鉄則など、実践的な展示会の営業テクニックについては、こちらをご覧ください。
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関連記事 内部リンク:展示会 営業 |
名刺交換の際には、相手の課題感やBANT情報(BANT:予算感・決裁関与・必要性・導入時期)を簡潔に確認し、その時点での対応優先度を記録します。
展示会後に思い出そうとしても限界があるため、会話の流れの中で自然に聞き取り、名刺や専用シートにメモしておくことが重要です。
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優先度 |
定義(状態) |
ネクストアクション |
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優先対応(高め) |
決裁権あり・導入時期が明確 「今すぐ客」 「すぐに提案が欲しい」 |
即日・翌日に営業が架電 (最優先でアポ打診) |
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通常対応(中) |
課題あり・情報収集中 「検討客」 「比較検討している」 |
3日以内にインサイドセールスが架電 (ヒアリング・資料送付) |
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情報提供対応(低め) |
課題薄・挨拶のみ 「そのうち客」 「とりあえず名刺交換」 |
メルマガ登録・サンクスメール (中長期の育成) |
上記のように、展示会終了後のフォローにおける優先順位を決めておくことで、効率的な営業活動につながります。
獲得した名刺情報やヒアリング内容は、紙のまま溜め込まず、その場ですぐにSFA(営業支援システム)やMAツールに入力しデータ化することを推奨します。これには、単なるペーパーレス化以上のメリットがあります。メリットは以下の2つです。
データ入力とあわせて、インサイドセールス部隊には「当日のブース写真」を共有しておきましょう。電話口で「〇〇色の看板のブースです」と情報を伝えることで、相手に思い出してもらいやすくなり、アポイントの獲得率が向上します。
展示会が終わった直後から、他社との競争が始まっています。来場者の記憶が鮮明なうちにアプローチできるかどうかが、商談化率を大きく左右します。ここでは、商談を逃さないための事後フォローの鉄則として、重要なアクションを3つ紹介します。
展示会のお礼メール(サンクスメール)は、「当日中」または「翌朝一番」に送るのが鉄則です。
展示会では来場者が数十社のブースを回るため、数日経つと個々の企業の印象は薄れていきます。その状態で1週間後にお礼メールを送っても、すでに記憶に残っていないか、他社とのやり取りが進んでいる可能性が高くなります。
早い段階で連絡を入れることは、「対応が早く、きちんとした企業」という印象を持ってもらいやすく、結果として他社との差にもつながります。初動の早さが成果を左右するため、SFAへの即時入力などの体制づくりが必要です。
当日のヒアリングをもとに、対応優先度が高いと判断した来場者には、メールだけでなく電話で早めに連絡を入れます。
記憶が鮮明なうちに電話をかけ、「先日の展示会で〇〇についてご興味をお持ちでしたので、詳細な資料をお持ちしました」と具体的な会話内容に触れることで、相手も状況を思い出しやすくなり、結果としてアポイントにつながりやすくなります。
すぐに商談化しなかった来場者と、その後の会話をつなげていくためには、ナーチャリング(顧客育成)を仕組みとして整えておくことが重要です。
具体的には、名刺を単なる連絡先として保管するのではなく、「当日どのような話をし、相手が何に関心を持っていたのか」が分かる状態で共有します。こうした情報が残っていれば、時間が経ってからでも会話の流れを自然につなげられます。
実際に、弊社へご依頼いただいた実際に株式会社MIC様の事例では、SFA(Salesforce)の導入によって顧客情報を一元管理し、将来的なMA(マーケティングオートメーション)連携を見据えた項目設計を行うことで、成約率向上の検証に着手できる状態を整えました。
こうした準備によって、展示会での会話内容や関心事を起点に、情報提供や個別の連絡を状況に応じて使い分けられるようになり、検討が進んだタイミングで自然に声をかけられる体制が整います。
ここまで展示会で成果を出すためのポイントを解説してきましたが、実践で落とし込む際には、人的・時間的リソースの制約が課題となります。ここでは、その課題の解決策について解説します。
展示会で名刺を多く集めた直後、「早くフォローしなければ」と分かっていても、現場ではすぐに行動できない状況が起きがちです。
展示会期間中、営業担当者は通常業務から一時的に離れ、ブース対応に集中します。そして展示会が終わると、既存顧客対応や見積もり、社内調整といった「締切や約束が明確な業務」が一斉に戻ってきます。
その中で、名刺の入力やフォローは、重要ではあっても即座に誰かに迷惑がかかるわけではない作業として後ろに回されがちです。結果として数日が経過し、連絡のタイミングを逃してしまうケースが少なくありません。
フォローに必要な工数を具体的に考えてみましょう。たとえば展示会で300件の名刺を獲得し、1件あたり3回電話をかけて接続を試みるとします。
【300件の名刺をフォローする場合の工数の試算】
これは、営業担当者1名が丸10日間(2週間)電話をかけ続けてようやく終わる業務量です。これを通常業務の合間に実行するのは、専任の部隊がいない限り現実的に困難です。
スピードが重要な展示会のフォローにおいて、リソース不足による初動の遅れは、大きな機会損失となります。
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展示会の成果を高めるためには、以下のように工程を明確に分業する体制を整えることが不可欠です。
展示会後のフォローでボトルネックになるのが、膨大な名刺に対する「架電・アポ獲得」工数です。社内リソースだけで完結させようとすると、既存顧客への対応や事務作業に追われ、新規リードへのアプローチが後回しになってしまいます。
負担の大きいプロセスを外部パートナーに切り出すことで、リソース不足を解消し、リードの鮮度が高いうちにアプローチできるようになります。
また、工数のかかるアプローチ業務をプロに任せると、自社の優秀な営業担当者は、付加価値の高い「商談」と「クロージング」にリソースを集中できるようになります。
弊社がご支援している株式会社イビコン様の事例では、引き合いから受注までを一貫して実施する体制から、インサイドセールスとフィールドセールスの分業型へと転換したことで、営業活動の効率化を実現しました。
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