「持続的な会社の成長のために、継続的に成果を出せる営業組織を作りたい」と考える方は多いでしょう。属人化を防ぎ、チーム全体で高いパフォーマンスを出すには、戦略に基づいた組織づくりが欠かせません。
本記事では、営業組織の作り方や強い組織の共通点、よくある課題と解決策などを解説します。
営業組織の仕組みづくりができれば、売上の浮き沈みを防ぎ安定的に業績を伸ばせるのはもちろん、未来の資産となる人材育成も行いやすくなるでしょう。
営業組織とは、企業が提供する商品やサービスを市場に届け、売上目標の達成をミッションとするチームのことを指します。
単に個々の営業担当者が集まっただけのグループではなく、戦略立案や進捗管理、メンバーの育成といった多岐にわたる役割を担う、組織の売上を支える中核部門です。
現代の営業組織は、単に商材を売るだけでなく、顧客との関係を構築し市場のフィードバックを収集し、戦略部門へ還元する役割も担っています。
継続的に企業を成長させるためには、属人的な努力や経験に頼る旧来型の組織から脱却し、安定的に成果を上げられる体制づくりが求められています。
営業組織は、「再現性の高い成果を安定して実現できる」ことがあるべき姿です。
ここでいう再現性とは、特定の優秀な個人に依存することなく、組織全体で高水準のパフォーマンスを発揮し続けられる仕組みが確立されていることを意味します。属人化が進んだ組織では、担当者が抜けるだけで、業績が急落するリスクがあります。
営業活動は、最終的に会社の利益に結びつくことが求められるため、効率的かつ一定の成果を出すことが重要です。
そのためには、営業トークスクリプトやマニュアルを作成し、特定の個人に依存することなく、組織全体が一律に成果を挙げられる仕組みづくりが必要です。
安定して高い成果を出し続ける営業組織がもつ、5つの特徴について解説します。これらの要素が整備されているかどうかが、強い営業組織を作れるか否かを大きく左右するでしょう。
強い営業組織では、トップが決定した売上目標が組織全体へ、具体的に共有されています。
単に「今期の売上〇億円」という数字だけを漠然と伝えるのではなく、目標を達成するために各部署や個人がどのような役割を担う必要があるのかを周知することが必要です。
具体的な目標が共有されていることで、メンバーは自分の日々の行動が組織の成功にどのように貢献しているのか実感しやすくなります。結果的に、どのようなアクションが、どのくらい必要なのかも理解できます。
目標を共有することにより、個々の主体性や進捗管理の意識が向上し、モチベーションの維持につながるでしょう。
強い営業組織に共通するのは、トークスクリプトやマニュアルなど、標準化された営業プロセスがあることです。
リードの獲得から商談、クロージング、アフターフォローに至るまでの手順が、明確な基準とともに確立されていると、特定個人の能力に頼ることなく、チームで営業活動を展開できます。
また、標準化されていることで「商談からの受注率が低い」など、改善するべきボトルネックを特定しやすくなるのもポイントです。効率的にブラッシュアップできるため、継続的に成長・発展できる組織を生み出せます。
経験の浅いメンバーでも、短期間で成果を出せるようになると期待できます。
強い営業組織は、情報伝達と意思決定が迅速です。
変化のスピードが速い現代のビジネス環境において、競合他社に先んじてトレンドを捉えるためには、経営層や現場へスムーズに情報が流れる体制が必要です。情報伝達の遅延は、ビジネスにおける機会損失や、誤った戦略の実行を引き起こす原因となります。
たとえば、ある営業担当者が顧客から競合に関する重要な情報を得た際に、すぐに共有プラットフォームにアップロードされ、マネージャーやマーケティング部門が戦略を見直せるような体制が必要です。
組織内の素早い連携体制があることで、新しい市場トレンドや顧客ニーズへの対応が迅速に行えます。
強い営業組織は、部署や階層を越えて率直な議論ができるような、円滑なコミュニケーション環境があるのも特徴です。
コミュニケーションが不足すると、営業活動における部門間の連携ミスが生じたり、組織内の潜在的な課題が表面化しにくくなったりするリスクがあります。
とくに、顧客の情報や市場ニーズの共有を担う営業活動はチームワークが重要であり、メンバー間の信頼関係が成果に大きく影響するでしょう。
たとえば、マネージャーがメンバーの悩みやキャリアプランについて、真剣に耳を傾ける姿勢が組織に浸透しているなど、能動的なコミュニケーションによるメンバーのケアが行き届いていると、密な連携が図りやすくなるでしょう。
円滑なコミュニケーションは単に情報の共有を促進するだけでなく、メンバー間の信頼関係を高めるため、モチベーション維持にも役立ちます。
強い営業組織は、新人が短期間で戦力化し、継続的にスキルアップできる育成システムをもっています。
営業スキルや知識は、顧客の変化に伴って常にアップデートが必要なため、一度身につけて終わりではありません。継続的に体系的な習得機会を提供し、組織全体の営業レベルを高く維持することが必要です。
たとえば、トークスクリプトや成功事例をデータベースに整備し、ロールプレイングや研修を通じて習得できるようにすると、体系的にメンバーを育成できます。また、先輩との同行やミーティングを通じて、実践的なスキルを磨く場を定期的に設けることも重要です。
育成の仕組み化は、組織にありがちな属人化を防ぎ、会社の持続的な成長を支えるための重要なミッションだといえるでしょう。
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強い営業組織を構築するには、場当たり的な施策ではなく戦略的なアプローチが必要です。
ここでは、強い営業組織を作るための9つのステップを紹介します。
強い営業組織を作る最初のステップは、現在の市場における強みや弱み、利用可能な予算などを把握する現状分析を行うことです。
現状を把握できなければ、自社の競合に対する優位性がわからなかったり、苦労して立てた営業計画が予算の関係で実行不可能だったりと、非効率な活動をすることになります。
分析する項目の例は、以下のとおりです。
現状分析はその後の戦略構築の土台となるため、感情論や憶測ではなく、正確なデータに基づいて行うことが重要です。
目標やターゲットを設定することで、必要な営業の活動量やアプローチの方向性が定まってきます。
この目標やターゲットが曖昧だと、どの活動に人員や予算を割くべきか判断できず、具体的な営業計画を立てられないでしょう。
現状分析の結果に基づき、組織全体の具体的な目標と、目標達成のために最も効果的なターゲット顧客を設定します。
たとえば「来期の売上で5億円達成する」という目標に対し、「従業員100〜300人の建築業界の企業」を主要ターゲットとするといったように、なるべく具体的に設定するのが望ましいでしょう。
目標とターゲットが具体的であるほど、後に設定するKPI(ビジネスにおける中間目標)などもより詳細に設定できます。
営業プロセスを標準化することで、個人のスキルや経験に依存せず、誰でも一定水準以上の成果を目指しやすくなります。
営業プロセスが確立されていなければ、優秀なセールスパーソンがいなくなった途端に組織の成果が下がったり、個人によって成績に大きな差が出たりなど、属人化のリスクが高まります。
「見込み顧客の獲得」→「ヒアリング」→「提案」→「クロージング」→「成約」→「アフターフォロー」といった営業活動における各フェーズを体系化しましょう。
営業プロセスを論理的かつ具体的に設計することで、ベテランの経験や勘に頼らず、共通認識のもとで営業活動を展開できるようになります。
設計された営業プロセスに基づき、各メンバーが得意分野やスキルに応じて最適な役割を担えるよう、役割を分担しましょう。
現代の営業活動は、商材の内容が複雑になっていることもあり、ひとりの担当者がすべてのプロセスを高いレベルでこなすのは困難な場合があります。適材適所で配置して、各メンバーの能力を発揮しやすくすることが大切です。
具体例としては、見込み顧客の開拓に特化するインサイドセールスや、商談とクロージングに特化するフィールドセールス、既存顧客の維持・拡大を担うカスタマーサクセスといったように、分業体制を導入します。
役割分担を明確にすることで、各自が得意な分野に集中でき、組織全体の生産性と専門性が大きく向上します。
組織全体のパフォーマンスを向上させるためには、トークスクリプトなどのノウハウを体系的にまとめ、組織全体で共有する仕組みが必要です。
営業ノウハウが属人化すると、組織全体の成長スピードが遅くなり、担当者の離職により組織の営業力も失われます。
具体的な方法としては、成約率の高いトークや対応パターンを整理し、メンバーがいつでも情報にアクセスできる体制を整えます。また、成果を出している営業パーソンと新人でロールプレイングを行い、実践でノウハウを身につける仕組みも有効でしょう。
ノウハウ共有の仕組み化によって、新人教育の効率化や、組織全体で成功事例の横展開が可能になります。
営業のノウハウについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
メンバーのモチベーション維持と組織への信頼を確保するため、透明性の高い評価制度も重要です。
評価基準が曖昧だとメンバーは会社に不信感を抱いたり、自身の行動をどう改善すればよいかがわからなかったりと、不安なまま働くこととなり離職につながりかねません。
具体例として、報酬や昇格の条件を明確にしてステップアップを可視化したり、結果だけでなくプロセスにおけるKPIの達成度も評価対象にしたりなどが挙げられます。
明確で公正な評価は、メンバーのモチベーションを上げ、組織全体のパフォーマンス向上を促すために重要です。
業務管理体制を整えて、営業活動の進捗状況・成果を正確に把握しましょう。管理体制が不十分だと、問題発生時の検知や対応が遅れ、大きな機会損失につながる可能性があります。
具体的には、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)ツールを導入し、メンバーに日々の活動記録を正確に入力するよう指導し、営業活動の進捗状況を可視化しましょう。
営業活動の透明性が高まることで、営業チームのマネージャーは、ボトルネックとなっている営業プロセスやメンバーに対して、指導・リソースの再配分を行いやすくなります。
また、各メンバーの営業活動の流れを把握しているおかげで、問題発生時にも迅速に対応しやすくなります。
成果が出たか否かにかかわらず、設定したプロセスでの行動について、定期的な振り返りを実施しましょう。
振り返りを通じた学びを次に活かすことで、営業組織は継続的にパフォーマンスを向上させられるのです。
たとえば、組織内での会議において、単なる数字の結果報告に留まらず「なぜこの案件は受注できたのか」といった議論をすると効果的でしょう。また、個人の成長のためには、個別ミーティングで成功体験や反省点を深掘りし、具体的なフィードバックを提供することも大切です。
定期的な振り返りは、組織のノウハウを深化させ、営業力の向上に役立ちます。
SFAやCRMなどデジタルツールを積極的に活用し、営業活動を効率化することも大切です。
営業パーソンの多くは、データ入力をはじめ非生産的な業務に多くの時間を奪われています。非効率的なだけでなく、ヒューマンエラーによる情報伝達ミスや誤入力など、人力でのデータ管理や情報共有には限界があります。
そこでSFAツールなどデジタルツールを活用して、自動化を進めましょう。最近では顧客データを自動で入力したり、AIが情報をまとめてくれたりするツールもあるため、営業担当者は日々の定型業務から解放され、コア業務に割ける時間が多くなります。
また、マネージャーはリアルタイムで案件の進捗状況を把握できるため、営業活動の管理・共有がしやすくなるでしょう。
ツールの導入や使い方に不安がある方に向けて、Grand CentralではCRM/SFAツールの構築・導入や、運用の支援まで包括的に支援しております。興味のある方は、こちらからサービス資料を閲覧・ご相談ください。
多くの企業が強い営業組織を目指すなかで、共通して直面する課題が存在します。
営業組織によくある課題は、以下の3つです。
多くの営業組織が抱える課題は、トップセールスとその他のメンバーとの実力差が拡大し、成功ノウハウが特定の個人に依存してしまうことです。
属人化が進むと、組織全体のパフォーマンスが特定のセールスパーソンに依存し、その社員が退職したり、長期休暇に入ったりした場合、業績が大きく落ち込むリスクがあります。自社にノウハウが蓄積しないため、再現性に乏しくなるのも問題です。
また、成功ノウハウがチームに共有されないため、ほかのメンバーや新人が知識・スキルを体系的に学ぶ機会を失い、成長が停滞しやすくなります。結果として、組織全体の平均的な営業レベルの向上が難しくなるでしょう。
この課題を解決するには、組織的なノウハウの標準化と共有の仕組みを導入し、企業文化として定着させることが重要です。
企業のなかには営業活動のプロセスや、個々の行動量が適切に把握できていないケースがあります。
プロセスや行動が不透明化すると、目標の未達が「活動量が足りないのか」「商談の質が低いのか」など原因を特定できず、適切な対策が打てません。
現場のメンバーも、自分がどの行動を改善すれば目標達成に近づけるかがわからないため、場当たり的に活動してしまう非効率な状況に陥ります。
営業活動に対して適切な対策を打つためには、KPIなどの中間目標を具体的に定め、ツールを使って日々の進捗状況を管理する必要があるでしょう。
多くの営業組織では、日常業務に追われるあまり、メンバーへの適切な育成や定期的な振り返りの機会が不足しがちです。
育成や振り返りの機会が不足すると、メンバーは自身の問題点や解決方法がわからず、成長が停滞してしまうでしょう。
また、指導が特定のマネージャーに属人化した場合、フィードバックを受けられないメンバーが出てきたり、マネージャーの離職に伴い教育する係がいなくなってしまったりといった事態も考えられます。
メンバーを計画的に育成するためには、教育を特定個人に任せるのではなく、営業ノウハウを体系的にまとめる、実績のある外部へ委託するなどの対策が必要でしょう。
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