営業の進捗管理で必要な項目と流れ|対策すべきリスクとは

営業の進捗管理に課題があり、マネジメントや日々の業務が円滑に進みにくいと感じている経営層やマネージャーの方もいるでしょう。
「営業の進捗は?」という進捗確認の電話やメールに対し、「順調です」という曖昧な報告だけが返ってきて、実際は担当者とマネージャーの間で認識のずれがあり、「今月も売上目標を達成できなかった」というケースは少なくはありません。組織として売上を安定させるためには、状況を事実ベースで把握し、適切に進捗を管理することが欠かせません。
本記事では営業における進捗管理で必要な項目や、具体的な流れについて解説します。
この記事を監修したコンサルタント
目次
営業における進捗管理とは

営業における進捗管理とは、その名のとおり、社内の営業プロセスがどの程度まで進んでいるのか管理することです。売上目標の達成率、受注件数、飛び込みやテレアポなどの営業件数、アプローチできた顧客の件数といった項目をおもに管理します。
進捗管理の目的は、売上の見通しを正確に把握し、どこで滞っているのかを共通認識として持つことです。目的が明確になると、「順調です」「詰めてます」といった曖昧な報告ではなく、根拠に基づいて状況を説明し合えるようになります。
営業で進捗管理を習慣にするメリット3つ

進捗管理を仕組み化するまで、労力や金銭的な面で負担はかかりますが、売上予測を立てやすい、スケジュール管理を効率化できるといった、営業組織には大きな恩恵が受けられます。この章では、具体的なメリットについて解説します。
- 精度の高い売上が予測できる
- 課題やリスクの早期発見につながる
- スケジュール管理を効率化できる
精度の高い売上が予測できる
営業の進捗管理では、商談件数や受注件数といった指標を営業プロセスの段階ごとに管理します。
進捗管理を習慣にすれば、各プロセスの客観的な進捗データが社内に蓄積されていくため、過去の受注率やリードタイムに基づいた統計的な予測が可能になります。
たとえば、「10月10日の時点で目標売上までの達成率は40%と、前月比+ 30%で推移しているため、今月は前月よりも高い成果を出せるのでは」といった予測が可能です。このように精度の高い売上を予測できれば、組織の活動状況にあわせた戦略を実行できます。
課題やリスクの早期発見につながる
進捗を定期的に確認する習慣が身につくと、売上達成を妨げている要因や失注の兆しを早い段階で把握できるようになります。営業プロセスの各段階(例:初回接触→提案)ごとに、転換率や平均滞留日数が数値として明らかになり、活動が停滞している案件(例:更新が7日以上ない案件)を見落としにくくなるためです。
このように進捗を可視化し、早い段階でマネージャーがフォローに入れる状態をつくることで、機会損失を減らし、売上の安定化にもつながります。
スケジュール管理を効率化できる
進捗管理を仕組みに落とし込むと、案件の状況更新が一定のルールで運用されるようになり、マネージャーと担当者の間で生じる確認作業が大きく減ります。案件状況や担当者の予定は管理表(ExcelやSFAなど)に整理されており、必要な情報をすぐに把握できるためです。
更新ルールが統一されると、「未更新=異変」という判断軸が共有され、遅れている案件を早い段階で見つけやすくなります。その結果、マネージャーが介入するタイミングも明確になり、フォロー業務が効率化されます。
確認業務にかかる時間が減ることで、マネージャーは組織改善や新規開拓など、優先順位の高い業務に集中できるようになります。
営業の進捗管理で必要な項目

この章では、勘に頼った属人的な管理から脱却し、データドリブンな営業体制を構築するために最低限必要な管理項目を紹介します。
- 目標管理
- 案件管理
- 顧客管理
- タスク管理
- 行動管理
目標管理
本章における目標管理とは、組織単位・担当者単位で目標を管理することです。目標に対する達成度を可視化し管理することで、戦略的なリソースの分配・軌道修正の対応が可能です。
目標を管理する際は、最終的な売上だけを見るのではなく、そこに至るまでの必要行動を段階的に逆算して設定します。たとえば売上1億円を目指す場合、必要な受注件数を起点に、そこから商談数、アポイント数、提案数といった各ステップの目標まで落とし込むことで、日々の行動量が明確になります。
案件管理
案件管理では、各案件の進捗率や担当者、顧客名、責任者、受注見込み金額などを管理します。
案件の状況が一目でわかるため、マネージャーは状況を把握しやすく、クレームや失注リスクを回避したり、先回りしてサポートしたりなど、戦略的に営業活動を進められます。
顧客管理
顧客管理では、見込み顧客・顧客の情報を細かく管理します。
たとえば、決裁者のプロフィール情報ややり取りの内容、顧客との温度感、ニーズや課題はもちろん、よくなかった反応まで、商談を成功させるために必要な要素を網羅します。
BtoB営業で失注が起きる大きな要因の一つに、顧客の意思決定プロセスや稟議の流れ、関与者の役割を把握できていない点があります。顧客管理を徹底し、誰が何を基準に判断するのかまで整理できていると、提案内容の精度が上がり、失注リスクを抑えやすくなります。
タスク管理
営業におけるタスク管理では、プロジェクトの優先順位やプレゼン資料の納期・期日、ミーティング日時などをおもに管理します。
担当者単位でタスクが整理されていると、マネージャーは「どこで停滞しているか」「どの案件に介入すべきか」を把握しやすくなり、必要なサポートを適切なタイミングで行えます。タスク終了後の振り返りやフィードバックも計画しやすく、各商談の精度向上につながります。
行動管理
行動管理では、架電数や訪問数といった担当者の行動を管理します。その行動(先行KPI)が、ファネルの転換率(後行KPI)にどう結びついているかを分析し、ボトルネックを特定できる利点があります。
行動量が多くても受注に結びつかない場合は、提案内容やヒアリングの質に改善余地がある可能性が高く、逆に行動量と成果が比例している場合は、現状の進め方がうまく回っていると判断できます。
行動量を「頑張った証拠」として残すのではなく、どの行動が成果につながっていないのかを見極める指標として扱うと、改善が必要なステップを具体的に把握できます。
成果が出る営業の進捗管理の流れ

正しく管理していくためにも、まずは営業プロセスを可視化し、細かく営業活動の段階にわけて進捗度を数字で理解できるようにしていく必要があります。この章では、具体例を交えて解説するので、ぜひご参考ください。
- 1.営業プロセスを可視化する
- 2.フェーズごとの進捗を割合で設定する
- 3.定期的にフィードバックを行う
1.営業プロセスを可視化する
組織全体の進捗管理の予測精度を向上させる第一歩は、営業プロセスを明確に可視化することです。
たとえば、初回提案フェーズであれば「提案書提出・次回の商談の日程が合意している」といった具合に、行動や顧客の反応を基準として段階を細分化します。これにより、担当者ごとの進捗状況の認識のブレがなくなり、正しく進捗を管理できます。
多くの組織では、進捗管理のExcelやスプレッドシート上での進捗確認が担当者の主観に依存し、「順調」「詰めてます」といった曖昧な報告が常態化しています。こうした問題を根本的に解決するためには、各商談がどの段階(フェーズ)にあるのかを客観的に判断できる明確な定義を設定する必要があります。
曖昧な管理で組織全体のブレをなくすためにも、営業プロセスは可視化することが重要です。
2.フェーズごとの進捗を割合で設定する
成果の予測精度を向上させるには、営業の各段階に客観的な進捗率(パーセンテージ)を設定し、標準化する方法が効果的です。
たとえば、リード獲得を10%、初回商談を30%、提案・見積を60%、クロージングを100%といったように、過去の実績に基づいて営業活動の進捗を定義します。これにより、担当者の経験や勘に頼らず、組織全体の売上予測を正確に計算できるようになります。
さらに、進捗率を活動量(訪問数や提案数)と組み合わせることで、活動はしているのに受注率が低いといった問題のボトルネックを具体的に特定できます。
3.定期的にフィードバックを行う
進捗管理は、データを記録するだけでは機能しません。
停滞している案件や、行動量と成果の乖離が見られる担当者に対して、どの段階で立ち止まっているのかを一緒に確認し、改善策をすり合わせることが欠かせません。
案件の更新履歴や活動量の変化を定点でチェックすると、ヒアリングの質、提案内容、クロージングの運び方など、改善が必要なポイントが明確になります。情報に基づいて具体的なアドバイスができるため、担当者は次のアクションを判断しやすくなります。
このサイクルが継続すると、担当者ごとの課題が属人的に放置されず、チーム全体の営業プロセスが少しずつ整い、結果として目標達成に向けた動きが安定します。
営業の進捗管理・報告で想定しておくべきリスクと対策

この章では、進捗管理の仕組みを導入・運用する際によくある失敗(リスク)と、それを未然に防ぐための対策を紹介します。
- 虚偽や誇張した報告がされる
- 進捗の報告が担当者の負担になる
虚偽や誇張した報告がされる
担当者の「順調です」「感触はよい」といった主観的な報告や、実態とは異なる誇張した進捗報告(まだ課題合意なのに、提案のステージに入れるなど)をされてしまうことは、営業管理において想定しておくべきリスクです。
このような誤差が生まれる背景には、ステージ定義や、進捗を進めるための条件がチーム内で統一されていないことにあります。判断基準が共有されていないと、担当者ごとに評価がばらつき、結果として誇張報告が起きやすくなります。
こうした誤差を防ぐには、進捗の判断基準を明確にし、誰が見ても同じ判断になる状態をつくる必要があります。
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具体的な対策 |
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ルール設計 |
・各プロセスごとに「入場条件」と「必要証跡」を明確化 ・証跡がなければステージを上げないルール ・管理表(Excel/SFA)で証跡URLを必須項目にする |
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運用方法 |
・週次会議を報告会ではなく、対策会議にする ・成果が出なくても感情的な指摘をしない習慣 |
進捗の報告が担当者の負担になる
もうひとつのリスクは、「進捗管理の入力が面倒」「SFA入力が続かない」といった運用負荷が積み重なり、結果として管理が形骸化してしまう点です。
本質的な原因は、進捗管理が「上司に提出するための作業」と捉えられ、担当者自身にとっての利得が設計されていないことにあります。こうした状況では、現場が主体的に入力を続ける動機が生まれません。
このリスクに対しては、入力の負担を減らすことと、担当者の利得を明確にすることの両方が必要です。
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具体的な対策 |
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入力の効率化 |
・必須項目を7点に絞る(案件名/金額/受注確度/次回商談日/次回目的/決裁者/議事録URL) ・自由記述を減らし、選択式中心にする ・入力が5〜10分以内で完了する設計にする |
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利得の明確化 |
・管理表をもとに進捗を把握するため、都度の追加質問(電話・DM)を原則ゼロにする ・評価制度に入力精度を一部連動させ、曖昧な運用にしない |
Grand Centralができること

Grand Centralは、累計350社の営業支援を実施しています。顧客満足度、プロジェクト継続率は95%を超え、キーエンスを経験したトップセールスによるキーエンス流の営業術で営業課題の解決まで導きます。
Grand Centralが提供するセールスDXとは
Grand Centralは、営業戦略の立案といった上流の支援や、研修や営業代行といった下流の支援も実施していますが、業務の効率化・生産性の向上を目的としたセールスDXの支援も提供しています。
いくら優秀なメンバーが揃っていても、社内の業務効率が悪ければ離職や生産性の低下といったリスクがあります。担当者もアクションを起こしにくく、ナレッジなども蓄積されにくいため属人的な営業活動になってしまいます。
とはいえ、組織のDX化を目指すのは簡単ではありません。必要なツールの選定やフォーマットの統一など、難易度が高い傾向にあります。
そのように難易度が高いDX化の構築だからこそ、DXに強いトップセールスが多数在籍しているGrand Centralにお任せください。
Grand Centralならではの3つの特徴
Grand Centralには、大きく3つの特徴があります。
- 戦略設計から伴走するコンサルティング
- 平均値を底上げするコーチング研修
- 客観的に可視化するアセスメント
Grand Centralでは、クライアントとGrand Centralの二人三脚で課題解決に向けて伴走するコンサルティングを提供しています。
たとえば、キーエンスやオープンハウス出身者のトップセールスによるこれまでの知見を活かした独自の戦略立案が可能です。
研修では、現役トップセールスが講師となり、テレアポ・商談・クロージングを会社の状況にあわせてオーダーメイドで提案、さらにツールの定着に向けた育成サポートも提供しています。
Grand Centralのご支援実績

ヤマヒロ様は、属人的な営業管理から脱却し、顧客情報や案件の進み具合を一元的に扱うためにSalesforceの導入を決断されました。
導入初期には、現場の入力が定着しづらいという課題もありましたが、Grand Centralが運用レベルを丁寧に見極め、よりシンプルで運用しやすい仕組みへ再構築。その軌道修正により、現在は営業メンバー全員がSalesforce上に活動状況を入力できる状態になり、リアルタイムで状況を把握できるようになっています。
また、専門用語が多いSalesforceでも、Grand Centralの視座を合わせた進め方により、営業メンバーの理解と活用が着実に進んでいる点も評価されています。質問への回答や改修も一貫してスピーディーで、進捗管理の基盤づくりを確実に前へ進める支援となりました。
営業の見える化や、進捗管理の仕組み化に課題を感じている企業様は、ぜひGrand Centralにご相談ください。
まとめ

営業の進捗を徹底することで、精度の高い売上を予測でき、課題やリスクの早期発見につながります。
まずは、営業プロセスを可視化するところからはじめ、アポイント獲得、商談、クロージングといったフェーズごとに進捗を管理しましょう。ただし、本記事で解説した、虚偽や誇張した報告、担当者の負担になるといったリスクも事前に想定して対策しておくことも大切です。
Grand Centralでは、営業プロセスの構築や担当者の研修など、さまざまな支援を実施しています。キーエンスやマイナビ出身のトップセールスが課題解決まで導きます。営業の進捗やプロセスの構築にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。