営業代行の費用対効果を高めるための判断基準と運用ポイントを解説

営業代行を導入する際は、費用と成果のバランスをどのように見極めるかが重要です。料金体系ごとに費用構造が異なり、自社の商材や営業プロセスとどこまで合うのか、判断に迷うケースも少なくありません。
本記事では、費用と効果の考え方、料金体系ごとの特徴、費用対効果を高めるポイントについて解説します
この記事を監修したコンサルタント
目次
営業代行の費用対効果とは

営業代行の費用対効果は、「どれだけ費用をかけて、どれだけ利益が戻ってきたか」を数字で確認することです。費用には、初期費用、月額の固定費、成果に応じた変動費、ツールやリストなどの関連コストが含まれます。
一方の効果は、受注から得られる売上と粗利(あらり)、継続取引がある場合は、将来の収益を含めて考えます。
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費用 |
効果 |
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1件あたりのCPA(顧客獲得単価)や、新規顧客1社と契約するまでのCAC(顧客獲得コスト)などの指標を使用し、「費用と成果のバランスが取れているか」の確認が大切です。
営業代行の「費用」と「効果」の捉え方
営業代行の費用対効果を考えるときは、売上ではなく粗利ベースで見ることが重要です。受注した金額から原価を引いたうえで、営業代行にかけた費用をどれだけ上回っているかを確認します。
継続取引が多い場合は、その顧客から将来的に得られる収益も含めて判断が可能です。
見積もりを比較する際は、金額をそのまま並べるのではなく、1件のアポイントを得るまでに必要な費用や、新規顧客1社の獲得までの総コストに置き換えて検討します。費用を同じ基準で整理すると、どのプランが自社に適しているかを比較できます。
費用対効果を正しく判断するための考え方
費用対効果を判断するには、売上目標から必要な受注数や商談数を逆算します。平均単価や勝率、商談化率を使用して必要な商談量を整理すると、投資の上限が見えてきます。
料金体系を選ぶ際は、商材の特性や検討期間との相性が重要です。高単価商材のように検討期間が長いなら、「固定報酬型」または「複合型」が向いています。一方、短期で成果を求めるなら、固定報酬型を抑えつつ、成果報酬型を組み合わせた「複合型」が有効です。
既存顧客から得られる収益と、新規顧客を獲得するための費用を比較します。商社のバランスを確認すると、どの範囲まで投資できるかを判断できます。
営業代行の料金体系と費用相場

営業代行の費用は、料金体系によって構造が大きく変わります。同じ月額でも成果の扱い方や作業範囲が異なるため、見積額だけでは判断が困難です。そのため、自社の営業プロセスにあわせて比較しましょう。以下に、3つの料金体系と費用相場を解説します。
- 固定報酬型の特徴と相場
- 成果報酬型の特徴と相場
- 複合型(固定+成果)の特徴と相場
固定報酬型の特徴と相場
固定報酬型は、毎月一定額を支払う仕組みで、長期的に質を安定させたい企業に向いています。スクリプト作成やターゲット選定などの基礎づくりも含めやすく、商談化率や受注率までを見据えた運用が可能です。
初期費用が別途発生する場合もあり、月額のみで判断せず、想定される総額での比較が必要です。
なお、Grand Centralでは、戦略立案、運用改善、データ分析を一体で行うため、月額100万円前後からのご提案が中心となります。中長期の成果を重視する企業に選ばれている支援形態です。
成果報酬型の特徴と相場
成果報酬型は、アポイント件数や受注件数など、成果が出た分だけ費用が発生する仕組みです。初期費用や固定費を抑えたい企業に適しています。また、短期で動き出したい企業が選びやすいモデルです。
相場は、アポイント1件あたり1.5〜3万円程度が目安です。決裁権をもつ担当者と会話できるケースや、難易度の高い商談設定では、単価が5万円以上になる場合もあります。
成果によって費用総額が大きく変わるため、どの状態を成果とみなすかを細かく決めることが欠かせません。
複合型(固定+成果)の特徴と相場
複合型は、少額の固定費と成果報酬を組み合わせる仕組みです。立ち上げの精度を保ちながら、成果に応じて費用が変動します。新しく扱う商材の反応がまだ読めない場合や、ターゲットや訴求内容を検証しながら進めたいケースに向いています。
月額10〜50万円程度の固定費に、アポイント1件1〜1.5万円ほどの成果報酬が相場です。固定報酬型より月額の負担を抑えつつ、成果報酬型より品質管理の余地があるため、バランスが取りやすいといえるでしょう。
営業代行の費用対効果を測る指標

営業代行の費用対効果を正しく見極めるには、「どのくらい費用がかかり、どれだけ成果につながったのか」を、同じ基準で比較できる状態が必要です。費用対効果を測る主な指標を解説します。
- CPA(顧客獲得単価)
- CAC(顧客獲得コスト)
- ROI(投資利益率)
- LTV(顧客生涯価値)とペイバック期間
1.CPA(顧客獲得単価)
CPAは、アポイントや商談1件を獲得するまでに要した費用を示す指標です。チャネルやターゲットごとの差が見えやすいため、短い期間で改善したいときに役立ちます。
初期費用やツール費を除くと、実際より低い数値が出てしまいます。正しい比較を行うためには、計算に使用する費用は漏れなくそろえることが重要です。
2.CAC(顧客獲得コスト)
CACは、新規顧客1社を受注するまでに投資した総費用を示す指標です。料金体系が異なるプランも、CACに置き換えると公平に比較できます。
検討時は、あらかじめ許容できるCACの上限を決め、LTV(顧客生涯価値)との比率が健全かどうかを確認します。
3.ROI(投資利益率)
ROIは、費用に対してどれだけの利益を生み出せたかを示す指標です。短期の収益性を把握しやすく、改善ポイントの洗い出しにも使用されます。
ROIが低い状態が続く場合は、商談化率や受注率、失注理由などに要素を分けて確認し、その過程に問題があるのかを特定します。
4.LTV(顧客生涯価値)とペイバック期間
LTVは、顧客から得られる長期的な利益を示す指標です。LTVをCACで割った値が「3」以上であれば、投資効率がよいと判断できます。ペイバック期間は、投資した費用を回収するまでの月数で、キャッシュフローの見通しを立てる際に役立ちます。
営業代行の費用対効果を高めるポイント

営業代行の費用対効果を高めるには、投資内容と確認すべき成果をはっきりさせることが重要です。数値で状況を把握できると、改善点が見えやすくなります。ここでは、費用対効果を高める主な5つのポイントを解説します。
- 自社の営業課題を明確にする
- 代行会社の実績・得意分野を見極める
- 成果の定義を明確化する
- 短期テスト(PoC)で効果を検証する
- CRM(顧客管理システム)・MAツール(マーケティング自動化ツール)でデータを可視化する
自社の営業課題を明確にする
営業プロセスのどこに課題があるのかを、数字を使用して整理します。売上目標から必要な受注率、商談率、リード率を逆算すると、どの段階で不足が生じているのかが把握しやすくなります。
「量」が不足しているなら、アプローチ件数やリスト精度の調整が必要です。「質」に課題があるなら、狙う業界、役職、企業規模、ヒアリング内容の改善が求められます。
現状を整理したうえで、固定報酬型、成果報酬型、複合型のうち、自社に適している体型を判断すると、投資のムダを抑えられます。
代行会社の実績・得意分野を見極める
営業代行会社は、得意とする業界や商材がそれぞれ異なります。依頼前に、商談化率、勝率、CPA、CACなどの実務データの提示を依頼すると、自社との相性が判断しやすいでしょう。
トークの録音サンプルがある場合は、会話の深度やヒアリングの質が確認できます。また、担当者が固定かどうか、スクリプト作成や改善体制、CRM運用の経験があるのかも重要な比較ポイントです。
費用だけで選ぶのではなく、実績、体制、担当者の質を総合的に見極めることで、成果につながりやすいパートナー選びが可能です。
成果の定義を明確化する
営業代行では、成果の基準が曖昧なままだと費用が膨らみます。成果の定義が曖昧なままでは、受注につながらない案件が増えてしまいます。「アポイント取得=成果」とだけに限定してしまうと、商談の質が判断できません。
成果を判断するために、次のような条件を事前に設定します。
- 決裁権をもつ人物が商談に参加しているか
- CRMの必須項目(課題・予算・導入時期など)が入力されているか
- 当日・前日キャンセルを成果に含めるか
- 過去アプローチ済み・既存顧客を成果対象とするか
基準を明確にしておくと、費用と成果のバランスを保ちやすくなり、齟齬も防げます。
短期テスト(PoC)で効果を検証する
営業代行を本格導入する前に、1〜3ヶ月の短期テスト(PoC)を設ける方法があります。実際のデータをもとに、契約内容や料金体系が自社に合っているかの確認が可能です。
PoCでは、次の指標をあらかじめ設定します。
- 目標とするCPA
- 商談化率
- 勝率
- 許容できるCAC
- 回収までのおおよその期間
数値が基準を下回った場合は、スクリプトやターゲット条件の見直しが必要です。改善が進まない場合は、本契約に進まず、条件を再検討する判断ができます。
CRM・MAツールでデータを可視化する
営業代行の取り組みは、CRMやMAツールと連携すると全体像を把握しやすくなります。接触数、商談数、受注数の流れやチャネルごとのCPA、CACが明確になり、改善ポイントを特定できます。
確認が必要な項目は、次のとおりです。
- リード、商談、受注の件数
- チャネル別のCPA・CAC
- 失注理由の傾向
- 顧客ごとの契約期間や単価
活動データが整理されていれば、続けるべき施策と見直すべき施策の明確な区別が可能です。数字の変化を把握できるため費用対効果が下がるサインにも、早い段階で気づけます。
なお、Grand Centralでは、営業ノウハウの体系化やトーク改善など、現場で使えるスキルを定着させる「セールスイネーブルメントサービス」を提供しています。
営業代行の費用対効果が下がる原因

費用対効果が下がる背景には、料金体系の選び方だけでなく、運用面での不備も関連しています。営業代行の費用対効果が下がる主な原因を解説します。
- 固定費が先行し成果が出ない
- 成果報酬が膨らみすぎる
- リードの質が低く商談につながらない
- 社内連携が不十分になる
固定費が先行し成果が出ない
固定報酬型を選んだ場合、月額費用だけがかかり、商談化が遅れるケースがあります。また、SLA(サービスレベル合意)やSLQ(商談化基準)が明確でないまま運用を開始すると、改善ポイントが見えにくくなります。
着手前に、目標CACや想定回収期間を試算しておくことが重要です。短期テストを先に実施することで、稼働比率や担当人数を見なおす判断につながります。
成果報酬が膨らみすぎる
成果報酬型は初期費用を抑えたい場合に適していますが、成果の基準が曖昧だと費用が想定以上に増えることがあります。そのため、成果として扱う条件を細かく定義し、重複やキャンセル扱いも事前の整理が欠かせません。
基準を明確にしておくと、費用の増加を防ぎつつ、運用の妥当性を保てます。
リードの質が低く商談につながらない
ターゲット条件が曖昧だと、見込みの低い企業へのアプローチが増え、商談に進みません。役職、企業規模、業種などの条件をそろえ、リストの精度を高める必要があります。
録音サンプルの確認や、失注理由のタグづけを徹底すると、改善に必要な情報を得やすくなります。また、チャネルを複数組み合わせる方法も有効です。
社内連携が不十分になる
代行会社と自社の連携が弱いと、情報が分断され、商談化から受注までの流れが止まります。商談を引き継ぐ際に、課題や決裁状況、導入時期などの入力項目の統一化が欠かせません。
CRM連携の使用により、チャネルごとの数字がひとつの画面で確認できます。すると、再アプローチや資料送付、日程調整などの次に取るべき行動が判断しやすくなります。
契約前に確認すべきコスト・条件

営業代行を検討する際は、見積額だけで判断せず、契約内容や追加で発生する費用を含めて確認しましょう。契約前に確認すべきコストや条件について解説します。
- 初期費用・ツール利用料・研修費
- 最低契約期間・解約条件
- 成果キャンセル・重複リードの扱い
初期費用・ツール利用料・研修費
固定費や成果報酬だけで比較すると、実際に必要な総額が見えづらくなります。戦略設計、スクリプト作成、リスト整備など、立ち上げ時の作業にかかる費用は別途発生することが多いため、最初に確認しましょう。
CRMやMAなどのツール利用料、録音レビューやデータ購入などの付帯費用も、どのタイミングで発生するのかについても、事前確認が必要です。
最低契約期間・解約条件
最低契約期間が長い場合は、成果が出ない状態でも費用が発生し続ける可能性があります。更新のタイミング、途中解約が可能かどうか、違約金の扱いなどは事前に確認します。
また、短期テスト(PoC)で効果を確かめてから、本契約へ進める仕組みになっているのかも確認が必要です。
成果キャンセル・重複リードの扱い
成果として認める条件に加えて、「成果に含めない条件」も明確にしておきます。当日キャンセル、前日キャンセル、既存顧客との重複、過去に別チャネルで獲得したリードなど、扱いが曖昧だと適切な費用計算ができません。
CRMへの登録内容、録音の提出条件、検収方法などもそろえておくと、後のトラブル防止が可能です。
Grand Centralでは、アポイント獲得にとどまらず、商材理解、訴求づくり、ターゲットの見直しなど、成果につながる工程をていねいに設計します。戦略部分まで支援範囲に含めるかどうかで、同じ成果報酬型でも実質的な価値が大きく変わります。
Grand Centralができること
Grand Centralが提供するセールスデベロップメントとは

営業コンサルティングと営業代行は、いずれもクライアント企業の営業活動を支援するサービスですが、どちらか一方だけでは根本的な課題解決に至らない場合があります。
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このような背景から、Grand Centralはコンサルティングと営業代行をハイブリッドした支援を提供しています。コンサルティングで仮説を立て、営業代行で検証することで、営業活動における持続的な成功を支援します。
Grand Centralならではの3つの特徴
キーエンス出身をはじめとした営業プロフェッショナルが支援
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Grand Centralのご支援実績
代表的なご支援実績を紹介します。他のご支援実績については、こちらからご覧ください。
株式会社SmartStudy様

支援内容
SmartStudy様は、複数事業の営業を少人数で兼任しており、営業の型づくりに課題を抱えていました。商材が多く、状況に応じて柔軟な進め方が必要でした。商材にあわせてチームを組める体制が自社の状況に合うと判断し、Grand Centralにご依頼いただきました。
支援では、ターゲット企業ごとに最適なアプローチを設計する「ABM(アカウントベースドマーケティング)」、営業プロセスの整理から実行までを一貫して支援いたしました。チャネルごとの動きを整えながら改善を重ねたことで、再現性のある進め方が確立されています。
スマートサプライ様

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支援では、見込み客の属性を整理し、アプローチ先を明確にするところから着手しました。仮説をひとつずつ検証し、活動内容を調整しながら進めたことで、短期間で成果が出ています。また、実際のアウトバウンド活動を通じて商品特性との相性が見極められ、今後の進め方を考えるうえで指標が明確になりました。
まとめ

営業代行の費用対効果を見極めるには、費用と成果を同じ基準で比較できる状態が必要です。固定報酬型、成果報酬型、複合型の違いを理解し、CPAやCACなどの指標を基準に検討しましょう。
また、成果条件やキャンセルの扱いを事前に整理し、短期テストで実際の数値を確認すると、現実的な費用設計につながります。
Grand Centralでは、営業代行の活用設計から商談創出、ノウハウの社内定着までを支援する「セールスデベロップメントサービス」を提供しています。自社に合った営業代行の使い方や、成果が続く仕組みづくりを検討されている方は、ぜひお問い合わせください。
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