営業計画書の書き方と無料テンプレート|作成する際の注意点も解説

「営業計画書の書き方を知りたい」「すぐに使える営業計画書のテンプレートが欲しい」といった悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。
営業計画書は、単なるノルマの管理表ではありません。企業のビジョンを達成するためのアクションを、どのように実行するかを可視化した、いわば営業活動の羅針盤です。
変化の激しいビジネス環境を勝ち抜くためには、根性論ではなく、データと戦略に基づいた計画書が不可欠です。
本記事では、営業計画書の具体的な書き方や盛り込むべき必須項目、無料で使えるテンプレートなどを紹介します。
属人的な営業から脱却し、成果を挙げられる営業チーム作りのために、営業計画書を役立てましょう。
この記事を監修したコンサルタント
目次
営業計画書とは

営業計画書とは、企業やチームが定めた売上目標を達成するために、具体的な行動指針や戦略をまとめた文書のことです。
単に「売上目標1億円」といった数値を掲げるだけでは計画書とはいえません。「どの市場を狙うのか」「どの商品を重点的に売るのか」「どのような手法で顧客にアプローチするのか」といったプロセスまで、詳細に落とし込む必要があります。
この計画書があることで、営業の担当者は迷いなく日々の業務に取り組むことができ、マネージャーは進捗管理や軌道修正を的確に行えるようになるでしょう。また、経営層や他部署と営業戦略を共有するための、コミュニケーションツールとしての役割も果たします。
つまり、営業計画書は組織全体が一丸となって目標に向かうための設計図といえるのです。
営業計画書の無料テンプレート

営業計画書の作り方がわからない場合は、インターネット上で公開されている無料のテンプレートを活用するのが近道です。
多くのビジネス系メディアが、Excel(エクセル)やPowerPoint(パワーポイント)などの形式でフォーマットを提供しています。テンプレートを活用すると作成にかかる工数を大幅に削減でき、必要な項目を埋めていくだけで体裁の整った資料が作れるでしょう。
また、標準的なテンプレートには計画の策定に必要な要素があらかじめ網羅されており、情報の抜け漏れも防げます。自社の業態や提出先に合わせて最適なものを選び、必要に応じて項目をカスタマイズして使うとよいでしょう。
たとえば、「bizocean(ビズオーシャン)」では会員登録をすると、営業計画書やノルマ達成リストのテンプレートを無料でダウンロードできます。
営業計画書の書き方【5ステップ】

営業計画書を作成するためには、いきなり数値を書き込むのではなく、正しい順序で要素を整理していくことが大切です。
効果的な営業計画書の書き方とは、以下の5ステップです。
- 現状の分析をする
- 目標・ターゲットを設定する
- 目標達成のためのアクションプランを考える
- 行動計画へ落とし込む
- フォーマットやテンプレートに入力する
1.現状の分析をする
最初に行うべきなのは、自社の現在の状況を把握することです。
過去の売上や顧客データなどから現状を分析することで、自社にとって効果的な営業の方向性や戦略が見えてきます。
分析で役立つのが、マーケティングでよく使われる「SWOT分析」や「3C分析」です。
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「なぜ前期は目標を達成できたのか」などの情報を突き詰め、市場のニーズと自社のリソースを確かめることで、これから向かうべき方向性の基礎が固まるでしょう。
2.目標・ターゲットを設定する
現状分析の結果に基づき、具体的な目標とターゲットを設定しましょう。
目標設定においては、「KGI(重要目標達成指標)」と「KPI(中間目標)」という2つの指標を使い分けることがポイントです。
KGIは年間売上高などの最終的な目標を指し、KPIはそのゴールに到達するための成約率などの中間目標を指します。これらの指標を明確にすることで、日々の活動が最終目標にどうつながっているかが可視化されるのです。
また、ターゲット設定では「ペルソナ(典型的な顧客像)」を具体的に描きます。業種や企業規模だけでなく、担当者の役職や抱えている課題まで想定することで、より精度の高いアプローチが可能になるでしょう。
3.目標達成のためのアクションプランを考える
目標とターゲットが決まったら、次はその目標達成のための具体的な戦略を考えます。
詳細なアクションプランを決めることで、営業担当者が実際に行動に移せるようになるからです。
たとえば、「新規開拓を重視する」「オンラインでの見込み客獲得に注力する」といった具体的な方針を決定しましょう。この段階では営業手法だけでなく、マーケティング施策やインサイドセールスとの連携なども視野に入れ、組織全体でどのような戦術をとるのがもっとも効率的かを検討します。
実現可能性の低いプランではなく、リソースに見合った現実的かつ効果的なプランを策定することで、目標の達成率が高まります。
4.行動計画へ落とし込む
アクションプランが決まったら、日々の具体的な行動レベルとスケジュールに落とし込みます。
行動計画が具体的であるほど、現場の営業担当者は迷わずに動くことができ、マネージャーも進捗管理がしやすくなるためです。
例としては、「週に30件のテレアポを行い、5件のアポイントを獲得する」「既存顧客トップ10社を今月中に訪問し、新サービスの提案を行う」などがあります。このような行動計画を月次、週次、日次のスケジュールに分解し、日程表などで可視化します。
目標数値だけでなく、行動量や期限を明確に定めておくことで、営業担当者が実行しやすくなるでしょう。
5.フォーマットやテンプレートに入力する
ここまでのステップで整理した内容を、営業計画書のフォーマットに入力し、文書として完成させます。
見やすくわかりやすいレイアウトを心がけると、チームメンバーや上層部にも共有しやすくなります。
数値データは表やグラフも活用して視覚的に表現し、戦略の根拠となる分析データも添付するとよいでしょう。また、専門用語には注釈を入れるなど、誰が読んでも理解できるように配慮することも大切です。
完成後は一度チーム内でレビューを行い、認識のズレがないか、実現不可能な計画になっていないかなどを確認することで、より精度が高く実効性のある営業計画書が完成します。
営業計画書に盛り込むべき10項目

営業計画書の内容を説得力のあるものにするには、以下のような項目が必要です。
- ミッション
- 目標数値
- 予算
- 現状の分析データ
- ターゲット
- マーケティング戦略
- アクションプラン
- チーム構成
- 必要なツール
- 想定リスク
さまざまな要素が揃うことで、戦略の全体像がより詳しく浮かび上がるでしょう。ここでは、各項目の概要と記入例を紹介します。
ミッション
ミッションとは、営業活動の根幹となる「使命」や「目的」のことです。
単に売上を上げることだけでなく、「顧客のどのような課題を解決するのか」「社会にどのような価値を提供するのか」といったビジョンを示す項目です。
ミッションが明確であれば、困難な状況に直面した際でもチームのモチベーションを維持しやすくなります。また、メンバー全員が同じ方向を向いて活動するための精神的な支柱となるでしょう。
<ミッションの例>
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目標数値
目標数値は計画の核心となる具体的な指標です。売上金額はもちろん、粗利や販売個数など、自社のビジネスモデルに合わせて重要な指標を設定します。
この際、年間目標だけでなく、四半期ごと、月ごとの目標に細分化して記載することも重要です。
大きな目標も、月単位や週単位の小さな目標に分解することで、達成へのイメージが湧きやすくなります。また、場合によっては、必ず達成したい目標と挑戦的な目標を分けて設定してもよいでしょう。
<目標数値の例>
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予算
営業計画書における予算とは、目標達成のために使用できる経費の金額です。
事業では無限に予算があるわけではないため、限られた資源をもっとも効果が見込める分野に集中させることが、戦略的な配分のポイントとなります。
営業活動には、交通費や接待交際費だけでなく、広告宣伝費やツールの利用料、場合によっては外部パートナーへの委託費など、さまざまなコストが発生します。
費用対効果を意識し、どの施策にどれくらいの予算を配分するかを明確にしましょう。
<予算の例>
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現状の分析データ
現状の分析データも記載します。
分析データは前年度の売上実績や受注率、失注理由などの内部データに加え、市場規模の推移、競合他社のシェアといった外部環境のデータも記載しましょう。
事実に基づいたデータがあることで、計画書の説得力が高まります。
SWOT分析や3C分析の結果を要約して載せるのも効果的です。
<現状の分析データの例>
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ターゲット
ターゲットの項目では、「誰に売るのか」を具体的に記述します。
業界、企業規模、地域といった属性に加え、企業が抱えている課題や決裁フローなど、詳細な情報まで含めることが理想です。
ターゲットを絞り込むことで、営業リソースを分散させずに効率的なアプローチが可能になります。
すべての人や企業を対象にするのではなく、自社の商品がもっとも価値を発揮できる顧客層を定義し、その特徴をチーム全体で共有しましょう。
<ターゲットの例>
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マーケティング戦略
マーケティング戦略は、見込み客をどのように集め、販売につなげるかという戦略です。
営業計画書においては、担当者がアプローチする前の段階である集客のプロセスを指します。
WebサイトやSNSを活用した施策、展示会への出展、ダイレクトメールの送付など、ターゲットに合わせた最適な経路を選定しましょう。
営業部門とマーケティング部門が分かれている場合でも、営業計画書で連携方法を明確にしておくことで、リードの質と量の向上につながります。
<マーケティング戦略の例>
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アクションプラン
アクションプランは、目標達成に向けた具体的な行動です。
アクションプランを定めなければ、営業担当者は設定された目標をどうやって達成したらよいかがわかりません。
「ターゲット企業リスト100社に対して架電を行う」「既存顧客への定期訪問を月1回から2回に増やす」など、具体的な行動内容を記載しましょう。
アクションプランは、精神論ではなく、現実的に実行可能なものである必要があります。また、それぞれの行動がどのKPIに紐づいているかを明確にし、営業戦略を改善する際のポイントをわかりやすくしておくことも大切です。
<アクションプランの例>
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チーム構成
チーム構成は、誰がどの役割を担うかという組織体制図です。各メンバーのスキルや経験を考慮し、適材適所の配置を行います。
営業チームの構成は、効率的にアクションを実行し、目標達成のための人員が足りているかなどを確認するために必要です。
チーム内の指示系統や、他部署との連携窓口なども記載しておくと業務がスムーズに進行するでしょう。
フィールドセールス(外勤営業)やインサイドセールス(内勤営業)、カスタマーサクセス(顧客成功支援)など、役割分担を明確にします。人員が不足している場合は、採用計画や外部リソースの活用についても記載しておくとメンバー補充の際に役立ちます。
<チーム構成の例>
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必要なツール
営業活動を効率化するために導入するITツールやシステムも記載しましょう。
現代の効率的な営業活動にはツールの活用が不可欠であり、新規導入が必要であれば予算確保の根拠にもなります。
ツールの例としては、営業プロセスを自動化・可視化する「SFA」や、顧客情報を管理する「CRM」などが代表的です。ほかにも、オンライン商談ツールや名刺管理アプリなども含まれます。
これらのツールをいつ導入し、どう活用するか、またどのような効果を狙うのかを明記しましょう。
<必要なツールの例>
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Grand Centralではツールの導入から使用までを包括的にサポートしています。興味のある方はこちらから資料をご覧ください。
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想定リスク
計画実行中に起こりうる問題や、リスクに対する対策も営業計画書には必要です。
リスクをあらかじめ洗い出し、対応策を用意しておくことで、不測の事態が発生した場合でも冷静に対処できるためです。
「競合他社が同種の低価格商品を投入してきた場合」「キーパーソンとなる営業担当者が退職した場合」など、ネガティブなシナリオも想定しておきましょう。
リスクの管理は、計画の信頼性を高める重要な要素のひとつです。
<想定リスクの例>
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営業の属人化を防ぐトークスクリプトの作り方や例文については、以下の記事で詳しく解説しています。
営業計画書を作成する際の3つの注意点

目標達成に役立つ営業計画書ですが、作成や運用を誤れば効果は薄れてしまいます。
ここでは、営業計画書を作成する際の注意点を3つ解説します。
- 組織で共有する
- 目標は具体的かつ達成可能なものにする
- PDCAサイクルを繰り返す
組織で共有する
営業計画書ができたら営業チームのメンバー全員、また関連する部署とも共有しましょう。
チームの全員が計画の意図やゴールを理解することで、組織としての一体感が生まれます。
また、現場のメンバーから計画書のフィードバックをもらうことで、計画の改善にも役立つでしょう。定期的なミーティングで計画書を画面に映しながら進捗を確認するなど、日常的にチームの目に入る状態にしておくことが大切です。
目標は具体的かつ達成可能なものにする
営業計画書に設定する目標は、現実的なものである必要があります。
達成困難な目標は現場のスタッフのモチベーションを下げ、逆に低すぎる目標は成長の機会を奪います。
目標設定においては、「SMARTの法則」を用いると効果的です。
| SMARTの法則:目標設定に用いるフレームワークで、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)の5つの要素のこと |
頑張れば届くという丁度よいラインの目標設定が、チームのパフォーマンスを発揮するのに役立つでしょう。
PDCAサイクルを繰り返す
営業計画書は一度作って終わりではなく、状況に合わせて更新し続けることが重要です。
ビジネスの市場環境や競合の動きは常に変化しており、当初立てた計画がその通りに進むとはかぎらないためです。
計画(Plan)を実行(Do)し、その結果を定期的に評価(Check)し、必要に応じて改善(Action)する「PDCA」のサイクルを回し続けましょう。
当初の想定と異なる動きがあった場合は、固執せずに計画を柔軟に修正する勇気も必要です。毎月1回、3ヶ月に1回など定期的に振り返りの機会を設け、改善を繰り返すことで、営業計画書は形骸化せず実用的なものになります。
Grand Centralができること
セールスデベロップメントは営業計画の策定・実行まで支援

Grand Centralのセールスデベロップメントは、上場企業での営業経験があるプロフェッショナルが営業計画や戦略の策定、実行までを全面的に支援するサービスです。
「営業計画書の作成に自信がない」「計画の実行に不安がある」という方のために、営業の代行や進捗状況の共有までお任せいただけます。
ご依頼いただいた企業様のなかには、3ヶ月で45%の受注率アップを達成した例もあります。
目標に対して適切な営業計画が立てられずに困っていたり、自社のリソース不足に悩んだりしている場合はお気軽にご相談ください。
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Grand Centralならではの3つの特徴
キーエンス出身をはじめとした営業プロフェッショナルが支援
キーエンス、リクルート、Salesforceなどでトップレベルの営業を経験してきたコンサルタントが、営業戦略の立案や仮説検証、マネジメントを行います。
実働を担当するのも弊社のノウハウが身に付いたメンバー。弊社独自の制度で選定された実力のある人材や、100%子会社の社員が担当します。
ワンストップで幅広いソリューション
戦略立案からインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスまでワンストップで支援します。オーダーメイドのプランでは、ターゲットやサービス特性に個別に対応可能です。
また、SFA構築・運用や営業研修、組織構築など、クライアント企業が自走できる支援メニューを幅広く提供しています。
クオリティの高い成果物
営業結果を多角的に分析した営業データ、勝ちパターンが構築されたスクリプトや応酬トーク集など、Grand Central独自の営業ノウハウをクライアント企業のサービスや組織に合わせた形で提供します。
報告資料も詳細に記載し、成果や進捗状況をいつでも確認できる体制を整えています。
営業の型を構築し、展示会から商談創出へ―立ち上げフェーズの課題を乗り越えた営業支援|セールスデベロップメントの導入事例

株式会社Ystec様では、営業の型の構築に取り組み、再現性のある営業活動の創出に成功しました。
当時のYstec様は事業立ち上げ期で、役員の方が営業の実働部隊として活動しており、人員を採用した際に営業の再現性を効率的に高めたいというのがご依頼いただいたきっかけです。
トークスクリプトやリストの整備、ノウハウの蓄積などを支援し営業の内製化を推進させていただきました。ほかにも、イベントではGrand Centralも営業パートナーとして積極的に来場者に声をかけ、多くのリードを獲得しています。
具体的にどのような支援を行い、営業を内製化したかについては以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ

営業計画書は単なる目標数値の管理表ではなく、チームが協力して進むための道標です。
現状分析からターゲット設定、具体的なアクションプランまでを論理的に落とし込むことで属人化を防ぎ、組織全体のパフォーマンスを高められます。
最初は無料のテンプレートを活用し、運用しながらPDCAを回して自社に最適な形へブラッシュアップしていくとよいでしょう。もし、営業計画の策定や実行リソースに課題を感じる場合は、外部のプロフェッショナルによる支援を受けるのも有効な手段です。
Grand Centralでは、上場企業で経験があるトップセールスが営業計画書の策定やノウハウの提供、各営業担当の研修まで包括的に支援いたします。
営業計画書の作成や計画の実行に不安がある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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