営業組織のあるべき姿とは?強いチームを作る5つのステップを紹介

営業組織の改革を進める際、「属人化から本当に脱却できるのか」「何から手をつければいいのか」といった悩みはつきものです。特に近年は、人材不足や日々の業務の多忙さが原因で属人化が深刻化し、結果として理想とする「標準化された強い組織」への仕組み作りまで手が回らないケースが増えています。
強い営業組織を目指すためには、客観的なデータに基づいた「再現性のある仕組み」を順序立てて構築することが重要です。
この記事では、強い営業組織に共通する特徴や、組織構築の5つのステップを詳しく解説します。併せて、外部リソースを活用して一気に理想へ近づく現実的なアプローチも紹介しますので、事業を加速させる組織作りのヒントとしてご参考ください。
この記事を監修したコンサルタント
目次
営業組織のあるべき姿とは

営業組織のあるべき姿とは、特定の個人のスキルやモチベーションに依存せず、組織全体として継続的に利益を生み出し続けられる仕組みがある状態です。
近年では、マーケティングからカスタマーサクセスまでを含めた収益プロセス全体を最適化する「Revenue Operations(RevOps)」の考え方が広まっています。
具体的には、以下の4つの要素が揃っている状態を指します。
- 全社員が共通の目的意識を持つ状態
- 誰でも売れる「勝ちパターン」の確立
- 勘に頼らず数字で判断する文化
- 人が自律的に育ち続ける環境
変化の激しい現代において、個人の力だけに頼る組織はもろく持続可能性がありません。組織として勝ち続けるための仕組み作りが、目指すべきゴールです。
営業組織のあるべき姿を阻む3つの課題

営業組織があるべき姿を目指す上で、日々の業務に追われ、ギャップを埋められないケースは多々あります。ここでは、組織の成長を阻む構造的な3つの課題について、客観的なデータを交えて解説します。
- 特定の「エース社員」に依存してしまう
- 育成の仕組みがなく若手が育つ前に辞めてしまう
- 目の前の数字に追われて戦略や改善に手が回らない
特定の「エース社員」に依存してしまう
特定のエース社員に依存してしまう課題は、多くの企業で見られます。その背景として、売上の多くを少数のトップセールスが支えているケースが少なくありません。
エース社員の判断や工夫が言語化されないまま属人化していると、組織として活かすことが難しくなります。他の社員は成功事例や提案の流れを共有できず、自分なりに試行錯誤を重ねるしかありません。
こうした「ノウハウが活用できない」という構造的な問題は、株式会社インゲージのデータからも明らかです。同社の調査によると、約6割(59%)のビジネスパーソンが「ノウハウ共有・再利用の仕組みが整っていない」と感じており、結果として属人化が加速している現状が浮き彫りになっています。属人化は、組織運営の観点からも見過ごせないテーマのひとつです。
育成の仕組みがなく若手が育つ前に辞めてしまう
ソリューション営業への転換など高度なスキルが求められる一方で、肝心の人材育成が追いついていないケースが多く見られます。株式会社Merが2024年に実施した調査では、急成長企業の営業課題として、以下の結果が出ています。
【急成長企業の営業組織課題】
第1位:新人教育ができていない(53.3%)
第2位:業務プロセスの体系化が出来ていない(45.3%)
出典:株式会社Mer|営業組織の急成長期における課題に関する実態調査(PR TIMES)
数字を担いながら育成も任される体制では、部下への同行やフィードバックが後回しになりがちです。十分なフォローを受けられない若手は、成長実感を得られないまま早期離職してしまう悪循環に陥りやすくなります。
目の前の数字に追われて戦略や改善に手が回らない
本来、営業担当者は顧客との対話や提案といったコア業務に集中すべきですが、現実は事務作業や社内会議に多くの時間を奪われるケースも見かけます。
HubSpotの調査によると、営業担当者が顧客とのやり取り(商談・移動含む)に使えている時間は業務全体の約54%に留まり、残りの時間の多くが社内業務や事務作業に割かれていることがわかっています。
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業務の種類 |
時間の割合 |
実態 |
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顧客とのやり取り (商談・移動含む) |
約54% |
業務時間の半分程度に留まっている |
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社内業務・事務作業 |
約46% |
本来削減すべき時間が業務の半分近くを占めている |
参考:HubSpot Japan株式会社|日本の営業に関する意識・実態調査2024
「戦略を練りたい」「マニュアルを作りたい」と考えていても、日々の数字と雑務に追われ、改善活動は後回しになりがちです。こうした悪循環は個人の努力だけでは解決しづらく、組織全体での構造改革が求められます。
強い営業組織に共通する特徴

課題を乗り越え、成果を出し続ける強い営業組織には共通点があります。ここでは、3つの特徴を紹介します。
- 組織全体でミッションとゴール(KGI)が共有されている
- 営業プロセスが標準化され再現性が高い
- データに基づいた意思決定を徹底している
組織全体でミッションとゴール(KGI)が共有されている
強い営業組織では、単なる売上目標だけでなく、「なぜ自社が商品を売るのか」を示した事業の意義を全員が共有しています。
たとえば、キーエンスのように「最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる」といった明確な理念が共有されている場合、現場は「この活動は本当に顧客の価値につながるか」「時間は効率的に使えているか」を常に自問自答します。
ミッションが明確な判断基準となるため、上司の指示を待たずに各メンバーが自律的に優先順位を決定し、KGI達成に向けた最短ルートでの行動が可能となります。
営業プロセスが標準化され再現性が高い
強い営業組織では、営業プロセスが標準化され、誰でも一定の成果を出せる勝ちパターンが存在します。たとえば、キーエンスでは、トップセールスの行動を細部まで分析し、誰でも再現できるマニュアルに落とし込んでいる点が特徴です。
商談で必ず聞くべき質問項目や、顧客から出やすい懸念への対応例、提示する資料の順序までルール化し、徹底したロールプレイングで実務に落とし込んでいます。個人の感覚に頼らない行動基準があれば、新人が入社から早い段階で一定の品質で商談を進められ、早期戦力化が可能です。
データに基づいた意思決定を徹底している
強い営業組織では、気合いや経験などのあいまいな根拠ではなく、SFAやCRMなどの定量データに基づいて判断します。具体的には、アポイント率や商談化率、受注率などの数値をファネル分析し、ボトルネックを特定します。
以下の表は、各プロセスにおける数値から課題を判断する一例です。
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プロセス |
数値の状況 |
判断できる課題 |
対策例 |
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アプローチ |
架電数は多いがアポ率が低い |
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商談 |
アポ数は十分だが案件化しない |
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受注 |
提案数は多いが失注が多い |
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感覚ではなく客観的なデータで判断することが定着すれば、改善のPDCAサイクルが早まり、変化への適応力が高まります。では、具体的にどのような手順でこの「強い組織」を作ればよいのでしょうか。次の章では、ゼロから構築するための具体的な5ステップを解説します。
強い営業組織を構築する5ステップ

ゼロから強い営業組織を作るためには、正しい手順で進めることが重要です。ここでは、具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。
- Step1:組織のミッションとKGIを再定義する
- Step2:営業プロセスを分解し「型」を作る
- Step3:正しいKPIを設定し行動を管理する
- Step4:SFA/CRMを導入し活動をデータ化する
- Step5:ナレッジ共有を文化として定着させる
Step1:組織のミッションとKGIを再定義する
まずは、組織が存在する目的と最終的なゴール(KGI)を経営層が決めていきます。現場が迷ったときの判断基準を作るため、単なる売上目標だけでなく、顧客への価値提供を測る指標もセットで設定することが重要です。
以下の表は、KGIに組み込むべき指標の一例です。
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指標の種類 |
具体例 |
設定する目的 |
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事業成長指標 (短期・定量) |
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企業の存続に必要な 収益基盤を確保するため |
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顧客価値指標 (中長期・定性) |
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「売って終わり」を防ぎ 顧客ロイヤリティを高めるため |
これらをバランスよくKGIに据えることで、「ただ売るだけでなく、顧客に価値を届ける」という意識が組織全体に根付きます。なお、ゼロから組織体制を構築する具体的なロードマップについては、以下の記事で詳しく解説しています。
Step2:営業プロセスを分解し「型」を作る
リード獲得から受注、アフターフォローまでの流れを工程(プロセス)に分解します。現状のエース社員へのヒアリングを通じて、成功パターンを言語化し、マニュアルやトークスクリプトとして標準化します。
最初から完璧を目指すと途中で失敗してしまうため、まずは「ベータ版」として運用を開始し、現場の声を反映させながら精度を高めていく手法がおすすめです。
属人化を解消するプロセスの標準化手順について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
Step3:正しいKPIを設定し行動を管理する
定義したプロセスごとに、KGI達成のための中間指標(KPI)を設定します。強い営業組織を目指すには、現場がコントロール可能な行動指標に落とし込む視点が必要です。
受注数は相手の意思決定に左右されますが、架電数や商談設定数は個人の努力でコントロールできます。自分でコントロールできる指標を追うことで、新人が手応えを持って動きやすくなります。
Step4:SFA/CRMを導入し活動をデータ化する
プロセスとKPIを管理するために、SalesforceなどのSFA/CRMツールを活用します。ツールを導入するためには、現場の入力負担を減らす工夫も重要です。
そのため、データ入力が目的化しないよう入力項目を最低限に絞るなど、現場の負担を減らす運用設計が重要です。正しいデータが蓄積されて初めて、客観的な分析が可能になります。
Step5:ナレッジ共有を文化として定着させる
個人の知見を組織の資産にするための仕組みを作ります。営業現場では、「ノウハウを教えるとライバル(同僚)に負けてしまう」「自分の価値が下がる」などの不安を感じることもあり、有益な情報ほど隠されがちです。
こうした不安を取り除き、自発的に共有してもらうには、共有した人が得をする設計が不可欠です。具体的な施策例として以下が挙げられます。
- 週次ミーティングで「成功事例・失注分析」の発表枠を設ける
- 資料作成やノウハウ共有を「貢献評価」としてボーナスに反映させる
自分だけの成果ではなく、チームへの貢献を評価する仕組みがあれば、ナレッジ共有は習慣として定着し、組織全体の底上げにつながります。
営業組織の現状分析・設計に活用できるフレームワーク

自社の組織課題を客観的に把握するために、以下の2つのフレームワークが役立ちます。
- 7S分析
- The Model
7S分析
7S分析は、世界的戦略コンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したフレームワークです。組織を以下の7要素に分けて分析します。
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ハードの3S |
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ソフトの4S |
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7S分析は、戦略や組織構造といった見えやすい要素だけでなく、人や価値観といった行動に影響する要素まで含めて整理し、ズレを捉えられる点が特徴です。
たとえばSFAツールを導入しても、使い方が十分に共有されていなかったり、データ活用が評価されない環境のままでは、現場に定着しません。ツール(System)とあわせて、使う場面や判断の基準まで揃えることで、はじめて活用が進みます。
このフレームワークを用いることで、組織全体が連動した実行力のある体制を構築できます。
The Model
The ModelはSalesforce社が提唱したフレームワークです。営業プロセスを以下の4部門に分業します。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
各部門の役割とKPIを明確にし、専門性を高めて生産性を最大化させます。
たとえば、マーケティングが獲得した見込み顧客に対し、インサイドセールスが電話でニーズをヒアリングして購買意欲を高めてから商談を設定します。これによりフィールドセールスは、成約率の高い商談だけに集中でき、効率よく売上を作ることが可能です。
現代のBtoB営業において、The Modelは事実上の標準となっている考え方です。
最短であるべき姿に近づくSales Enablementのアプローチ

日々の業務に追われている企業では、営業組織の改善に腰を据えて取り組む余裕が持てないことも少なくありません。こうした状況の中で重要になるのが、個人の頑張りに頼らず、営業活動の判断や進め方を揃えていくSales Enablementの考え方です。
Sales Enablementは、短期的な成果を出すための施策ではなく、営業組織が自分たちで改善を回し続けられる状態に近づくための取り組みです。
- 属人化の原因に正面から触れる
- 営業担当者が本来注力すべき行動に時間を使えるようにする
- 外部の知見を活かし組織の中に判断軸を残す
属人化の原因に正面から触れる
Sales Enablementが重視するのは、成果を出している人の行動そのものではなく、その背景にある考え方です。個人の経験や感覚に依存した営業が続くと、成果の再現が難しくなり、組織としての成長が止まりやすくなります。
外部の知見を通じて、営業活動をどう分解し、どう振り返るのかという視点を共有することで、成功と失敗を個人の中で終わらせない状態をつくります。その結果、営業の良し悪しを感覚で語るのではなく、共通の観点で話せる組織へと変わっていきます。
営業担当者が本来注力すべき行動に時間を使えるようにする
営業担当者が日々の対応に追われていると、判断を立ち止まって考える余裕がなくなり、結果として場当たり的な動きが増えていきます。
Sales Enablementでは、「どの時点で商談と捉えるのか」「どの情報が見えていれば次に進めるのか」といった前提を共有することで、現場での迷いを減らします。
判断に悩む時間が減ることで、営業担当者は数を追うことよりも、商談準備や顧客理解といった成果につながりやすい行動に時間を使えるようになります。
外部の関与を通じて考え方が組織に残る状態をつくる
Sales Enablementにおける外部活用の目的は、業務を任せ続けることではありません。外部との取り組みを通じて、営業組織の中に考え方が残る状態を目指します。
たとえば、営業活動を振り返る際にどこを見るのか、数字をどう捉えて次の動きにつなげるのか、会話の中で何を確かめておくべきか、こうした視点が共有されることで改善が特定の人に依存しにくくなります。
Sales Enablementは、「個人の頑張り」で成り立つ組織から、「共通の考え方で前に進める組織」へ近づくための取り組みです。
Grand Centralが提供する「Sales Enablement」とは
私たちが考える営業組織のあるべき姿は、特定のエースに依存せず、誰もが自分の役割を理解したうえで成果に向かえる状態です。そのための支援として、セールスイネーブルメントを提供しています。
単発の研修や営業代行にとどまらず、現場の声をもとに課題を洗い出し、戦略の整理、トップセールスの思考や判断の共有、SFA/CRMの活用定着までを段階的に進めます。こうした取り組みを通じて、営業組織が自分たちの力で前に進み続けられる状態を目指します。
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Grand Centralならではの3つの特徴
Grand Centralのサービスには、他社にはない3つの特徴があります。
1. キーエンス出身をはじめとした営業プロフェッショナルが支援
キーエンス、リクルート、Salesforceなどで営業の第一線を経験してきたコンサルタントが、営業戦略の立案から仮説検証、マネジメントまでを支援します。机上での戦略設計にとどまらず、現場でどのように判断し、どう動くかという実務の視点まで踏み込みます。
2.ワンストップで幅広いソリューション
Grand Centralでは、戦略立案からインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスまでを一貫して支援します。営業活動の一部分だけを切り出すのではなく、組織全体の流れを踏まえて関わる点が特徴です。また、SFAの構築・運用支援や営業研修、組織体制の見直しなど、営業組織が自ら判断し、動けるようになるための支援メニューも幅広く提供しています。
3.クオリティの高い成果物
支援の過程で得られた知見は、営業組織の中で活用される成果物として提供します。単なる報告資料ではなく、日々の営業活動の振り返りや判断に使われることを前提としています。
たとえば、以下のような内容が含まれます。
- 営業結果を多角的に分析した営業データ
- 勝ちパターンが構築されたスクリプト
- 実践的な応酬トーク集
これらを通じて、成果や進捗を継続的に確認できる体制を整えています。
Grand Centralのご支援実績
Grand Centralのご支援実績を紹介します。
【ご支援実績】
- 株式会社ドコモ様
- 株式会社イビコン様
- 株式会社マネーフォワード様
- 朝日新聞社様 など
上記のとおり、日本を代表するナショナルクライアントから急成長スタートアップまで、幅広い企業様をご支援してきました。
たとえば、株式会社イビコンの事例では、長年続いていた属人的な営業体制を見直し、インサイドセールスとフィールドセールスの分業型へと移行しました。商談への同行を通じて現場での考え方や進め方を共有することで、営業活動のばらつきが抑えられ、SFAへの入力も自然と定着しています。
まとめ

強い営業組織を作るには、特定の個人に依存せず、組織全体で成果を出し続けるための「仕組み化」が欠かせません。この記事で解説した「強い営業組織の特徴」や「組織作りのための5つのステップ」を参考に、まずは自社の現状と課題を客観的に把握することから始めてみてください。
以下の資料では、営業組織作りで直面しがちな属人化やリソース不足といった課題に対して、Grand Centralがどのように解決策を提供できるのかを具体的にまとめています。外部パートナーの選定や、具体的な施策を検討する際の比較材料としてご活用ください。
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